Miðvikudagur, desember 29, 2004
小さく儚きものたち

以前にも書いたように,南方は非常に苦手。だから自分が南の島を訪れる日が来ることなどは全く夢にも思わず,それ故にいざそこに降り立った時に何をしたらいいものかも皆目検討がつかず。しかし半強制的に足を運ばされたとはいえ,それなりの対価を得なければ割にあわん。で,そのうちのひとつが「無人島iPod」だったんだけど,その過程でもうひとつ,偶然にもはまったものが。

1229fそれは浜辺での貝殻探し。八重山の島々は珊瑚礁に囲まれているので,浜辺にはそれこそ無数に珊瑚や貝殻が転がっている(なかには浜辺自体がそれらで形成されているといってもいいくらいの所もあり)。それらの美しいことといったら。陽射しが無かったことも幸いし,時の経つのも忘れ,夢中になって拾いまくり。

貝殻と言えばまずは螺旋を描く幾何学的魅力。完全な形を保っているものはもちろんのこと,壊れて見えるその断面もまた素晴らしい。なかにはバベルの塔を想起させるものも。
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また波に揉まれたことで白蝋化したかのように真白なものも美しい。色が抜け角が取れ,そして厚みも減り向こうが透けて見えるかのよう。更にその手触りはとてもなめらか。ふと,これと同じ質感の肌を持つ女性を妄想の中で思い浮かべてみたり。1229d1229e

そうこうしているうちに眼が肥えてきて,サイズの大きなものは大味すぎてイカンと満足できない体に。より小さく,より精緻なものを求めるべく,ついにはうつ伏せとなり砂浜から5cmと離れない至近距離から凝視。おぉ,これぞマイクロコスモス。これまでただの砂だと思っていたものが様々な形を見せ始める。2mm,3mmという体長で螺旋を描かれた日にゃぁそりゃもう…。

東京帰還後,それら収集物は一旦シャーレの中へ。大きさや種類で選別した後,それぞれは更に小さなシャーレの中に納まる予定。1229a


Fimmtudagur, desember 23, 2004
無人島iPod

その昔,「無人島レコード」という本がありました。「もしあなたが無人島に行くことになり,そして1枚だけレコード(CDでもカセットでも可)を持っていくことができるとしたら何を選びますか?」という問いに名のある方々が回答を寄せたもの。読みどころは,どんな無人島を想定したかその想像力,そしてもちろんその1枚だけを選び出す個々人の選択眼,等々。
でもさ,持っていきたいものが複数あったら全部持っていけばいいじゃないっすか。レコードじゃ重いだろうけど,今ならばiPodがあるじゃないっすか。っつーか,そもそも実際にその1枚を持って本当に無人島へ行き聴いた人はいるんですか?(いたらゴメンナサイ)。

1223aっつーことで,実行しました。「無人島レコード」ならぬ「無人島iPod」。10GBの第二世代iPodに詰め込めるだけ詰め込んで,石垣島から定期船で25分の小浜島,更にそこから渡し船に10分乗り,目的の無人島,カヤマ島へ。天候は曇り,強い陽射しもなく,個人的にも最高のコンディション(日光に弱い体質なもんで)。岩陰の砂浜にレジャーシートを敷き,仰向け大の字になって寝転がり。

さて,ここで今回のルール説明。主要ポイントはふたつ。ひとつめはiPodの10GBという容量制限。その大きさでは家MacのiTunesライブラリをそっくり入れることは不可能なので,何かしらのフィルタをかけて10GB分を選ぶ必要あり。そこでふたつめ,島での再生方法。『無人島レコード』のように1枚のアルバムしか選べないのならともかく,せっかくのiPod,せっかくの膨大な曲数なので,神の選曲に身を委ねるのもおもしろいのではないかと。つまりアルバムやアーティスト単位に拘らず,全てシャッフルプレイで聴くことを選択。となると,ひとつめの10GBの容量制限も自分の手で音源を選ぶと無意識のうちにバイアスがかかったものになってしまいおもしろくない。そこでiTunesのスマートプレイリストで「再生回数が100回以下の曲から1000MB(=9.77GB)を上限にランダム選択」を条件に抽出(100回以上聴いた音源が無かったこと,またiPodには元々入っているデータ(インストーラの類)があり,10GB丸々だと入りきらないのでそれよりちょっと下げておいた)。

その結果,選ばれたのは1765曲,時間にして5日と5時間分。これに再生を開始するためのどうでもいい1曲をプラス(シャッフルプレイはそれを始めるにあたり,1曲目だけは人力で選ぶ必要があるので)。この1曲目は再生直後にすかさず飛ばし2曲目へ移行。そこからが本当のシャッフルプレイスタート。

以下,その再生リスト(並びにその時々の状況・感情)。

・Brian Eno : 『1/1』(from 『Ambient 1 Music for Airports』)
 しょっぱなで演奏時間17分。心地良すぎていきなり眠くなる。
・David Bowie : 『New Killer Star』
 ブッシュの顔がちらつきました。
・NHK AMラジオの英会話番組のエアチェック
 通りかかった船に助けを求める時に必要ということですか?。
・岡村靖幸 : 『ミラクルジャンプ』
 きたっ!。でも無人島でテンション上がるのがこんなにも虚しいとは…。
・David Sylvian & Robert Fripp : 『Every Colour You Are』
 あんまり思い入れがなかったんで特になし。
・トニー谷 : 『あんたのお名前何ァんてェの』
 これぞ神の選曲。無人島で誰に名前を訊くことあるんだよ。
・Manuel Göttsching : 『E2-E4』。
 ここで来るかの60分超大作。気持ち良くて途中から完全に熟睡。目覚めて
 時計を見ると,曲終了から確実に1時間経過。当然,その間の曲は不明。
・Neu! : 『Weissensee』
 スローテンポでまたまた眠くなるが我慢。
・NHK AMラジオの英会話番組のエアチェック
 最初とは別日の放送。でもくどい。しかも途中で飽きてしまい再び
 眠りに…。その後,確実に数曲は記憶無し。
・戸川純 : 『Because the Night』
 Patti Smithのカバー。眠気が一気に吹き飛ぶ。っつーか,どう考えても
 南の島の浜辺で聴く曲じゃない…。
・Paul Bley : 『So Hard It Hurts』
 ジャズ。全く事前知識無し。家のiTunesでも聴いたことがないかも…。
・Cex : 『Earth-Shaking Event』
 曲そのものより,David Bowie『Heroes』をパクッたジャケが頭の中を
 占有。誰も見てないのをいいことに,一人でその真似をしてみたり。
・渚十吾 : 『Wailing Wall』
 Todd Rundgrenのトリビュートアルバムから。Paul Bley同様,未聴。
・The Greats : 『Rule Britannia』
 フットボールアンセム。曲自体は全く記憶無し。が,大人数による掛け声
 がこの場所で聴くには切ない。柄にも無くちょっと人恋しくなりかける。
・Tabla Beat Science : 『Audiomaze』
 タブラ,気持ちいい!。一転,テンション上がる。

以上,島を離れるまでの約5時間の記録。途中,寝てしまって何とも不完全なリストだけど,まぁやったことに意義があるってことで(っつーか,単に「無人島iPod」って言葉を使ってみたかっただけ)。想像していなかったのは,曲間の数秒に聴こえる波音の心地良さ。まるでSt.Giga(逆だよ逆)。無人島に行ったのなら人工音楽など聴かず,自然の音に耳を傾ければいいじゃないかという声もあるでしょうが,人工音楽の合間に耳にすることで逆にその存在を強く意識出来ましたよ。

ところで,5時間の再生じゃもちろんバッテリは切れなかったけれど,仮に数日(数ヶ月)過ごすことになったとしても,太陽光で充電できる周辺機器(例えばフォーカルの「Solio」)を持っていっとけば問題無し。さぁ,レッツトライ。


Miðvikudagur, desember 22, 2004
South of the Border

1222a気がつきゃ,石垣島。

羽田-那覇が2時間30分もかかることも(CPH-KEFと30分しか違わないと考えるとその長さを実感),更に那覇-石垣が1時間ということも,そしてそもそも,日本列島の中における石垣島の位置関係も全く知らないままに到着。

っつーか,北に行けば行くほど生気に満ちる自分にとって,正直,南は忌み嫌う方角。調べたら石垣島はマルタ共和国よりも南(石垣島:北緯24度。マルタ:北緯36度(横浜と同じだったのかよ))。ってことは生涯最南端の地。観光客というよりも行者の心持ち…。