Sunnudagur, júní 15, 2008
一番は昭和天皇の「あ,そう」

渋谷のPARCO Factoryにて「ナンシー関 大ハンコ展」。会場の狭さと展示方法の相乗効果で,とにかく人が流れない。幅1.5mほどのケースの中に音楽・女優などワンテーマに沿った数百のハンコが並べられたら,そりゃみんな動かないって。

そのせいもあってか,ハンコよりも後半の仕事部屋と遺品の展示がより興味深く眼に飛び込む。篆刻の本,ムーンライダーズのライブチケット,岡本太郎グッズ…。生原稿の綺麗な文字は驚きでもありまた納得できるところでもあり。あの文字で全てのコラムを読み返すことが出来たら,また違ったことを思うんだろうな。

帰宅後,『TV. Bros』の特集も再度読み返し。川勝正幸・菊地成孔対談が素晴らしい。


Laugardagur, desember 10, 2005
銀座→京橋

「スイスポスター100年展」
↓ NとZ
「永遠なる薔薇」
↓ 壁と床の際を照らす赤い光
「私的装幀デザイン展」
↓ マッハバンドに軽い眩暈
「ポーランドの映画ポスター」
  『Yellow Submarine』を思わせるメカゴジラ

帰宅すると,amazonから『唐草抄―装飾文様生命誌』。
段ボールの梱包を引っ剥がした瞬間,息を飲む。店頭で買ってたらこの喜びは味わえなかったなぁ。ちょっとラッキー。

唐草つながり。来年,Tord Boontjeの展覧会。


Sunnudagur, nóvember 13, 2005
ハラさんとアリャマタさん

待ちに待った群馬アート紀行。

まずは伊香保,牧場の中に建つハラミュージアムアーク。 伊香保は何度か訪れていたけれど,こんな美術館があることは全く知らず。しかもそれが品川にある原美術館の別館だとは。

051113_01牧場を奥へと進むと現れた漆黒の木造建築(ちなみに設計は磯崎新)。A・B・Cと3つに分かれた展示棟を,その中心にある屋外ロビー(屋根付き)を介して行き来する。想像よりもコンパクトな内容ではありましたが,それが物足りなさではなく濃密さを増す方向で感じさせるところが見事。特に正方形のA棟は,中央に倉俣史朗,そしてそれを囲むように四面の壁には荒木経惟・杉本博司・Robert Mapplethorpe(ロバート・メイプルソープ)などが。中でもHelena Almeida(エレーナ・アルメイダ)の『Ouve-me』がかなりツボ。

051113_02B棟は扉を開けるといきなり毒々しい黄色と黒いドットの洪水。直島の海岸にポツンと佇む,草間彌生のあのカボチャのイメージが部屋全体を覆っている。直島では何も感じなかったけど,こっちにはそりゃもう気が狂いそうになるほど大興奮。

外庭の一角にはウォーホールのキャンベルズが(しかも巨大)。ぽつねんと佇む姿がどこか微笑ましい。


051113_03満喫しすぎて時間が押し気味。急いで群馬県立自然史博物館へ車を飛ばし,本日のメインイベント,「ニッポン・ヴンダーカマー 荒俣宏の驚異宝物館」へ。

今日という日を選んだのは氏の講演を聴くため。初めての生アリャマタコリャマタ,堪能いたしました(図録にサインもしっかりと頂く)。個人的なところでは,プラハのストラホフ修道院の話が出たのがちょっと嬉しかったり(澁澤龍彦と荒俣さんの著作を見て行こうと思ったんで)。

講演終了後,展示を拝見。
ヴンダーカマーと言えば,かつて東大で開催されたMark Dion(マーク・ダイオン)の展示を思い出すんだけど,あちらには整理と洗練を感じたのに対し,こちらは見世物的な猥雑感が強調された印象。どっちが良いということではなくて,ヴンダーカマーはそれを作り上げた人の趣味嗜好が強く反映されるものだということ。いやぁ,いいもん見た。

051113_09またどうしても荒俣さんの名前が前面に出ちゃうけど,実はここの博物館の館長さんもスゴイってことがわかりました。展示されている館長所蔵の品々,おもしろすぎ。 特に各種動物の陰茎骨コレクション。その数もさることながら,記されたキャプションが秀逸。「はずかしい けど見せたい」

余談だけど,写真撮影を完全に許している博物館の姿勢に感謝。頭ごなしに禁止するところが多い昨今(見る側のマナーが悪いってのもあるとは思うけどね),非常に心地良い対応でした。ってことで,画像を幾つか。

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Laugardagur, október 8, 2005
design from Switzerland: Small & Beautiful

初めて見たスイスのパスポートに驚愕。
なんだそのカッコよさ(頭悪い感想だな…)。

展示用木箱のアイデアは非常に参考になりました。

http://www.d-akihabara.jp/exhibition/sb/index.html


Föstudagur, ágúst 19, 2005
Raw Things

8時起床,9時近江町市場へ。海鮮丼を喰らおうと思うも場内の食堂は軒並み10時以降の開店。仕方なく開いている魚屋の店先に売られている寿司パック,そして鰻の肝の串焼きをテイクアウト。

市場前から運賃100円の「ふらっとバス」に乗って21世紀美術館へ。いよいよこの旅本来の目的「マシュー・バーニー:拘束のドローイング展」。展示の前にまずは映画から。

色々と言葉を積み上げることは出来そうだけど,シンプルに言えば仲良きことは美しき哉。壮大な夫婦漫才を存分に堪能させていただきました(噂の解体ショーも目を逸らさずにね)。一方の展示のほうは映画の衝撃が大きくて正直,それほどでも…。

作品そのものからは離れてしまうけど,その行動力には惜しみない賞賛を。やってることは変態だけど(もちろん褒め言葉),その変態を実際にやり遂げるには相当な困難が伴ったはず。それらありとあらゆる交渉折衝直談判を乗り越えた先に完成したアートだと考えると,この人から学ぶべきものは感性でも表現手法でも何でもなくて,卓越したコミュニケーション能力なのでは?。

マシュー・バーニー以外の21世紀美術館での展示も幾つか。
やっぱり好きなのはLeandro Erlichの「Swimming Pool(La Pileta)」。ちょっと小さいだけでごく普通のプールに見えるけれど,実際に水が存在するのは水面から10cm。その下には透明ガラスを隔てて水色に塗られた空間。そこからの眺めはまさに水中にいるかのよう。特に陽射しが強いと波で光が拡散してそれは綺麗。夜も良さそうだなぁ(月が昇ってたりするとどう見えるんだろ?。夜に再訪しようと思ってたんだけど,後述のサロンに沈んでしまったので行けず)。
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もうひとつは「アナザー・ストーリー」展の中で展示されていたCarsten Nicolai の「Milch」(google image)。様々な周波数で揺らされたミルクの波紋の写真。Sketch Show『ekot』のPV(こちらは辻川幸一郎。そして「milch」より後だけど)をちらと思い出す。

ここからは泉鏡花記念館→志摩→妙立寺と駆け足で観光(途中に古本屋もちょこちょこ)。なかでも妙立寺は見応えあり。別名「忍者寺」と呼ばれるだけのことはある仕掛けの数々。何処かの大学の建築学科あたりがCADデータにしてないんだろうか?。

050819c金沢最後の晩餐は中心街からちょっと離れて民家を改装したサロン(飲み屋)へ。

もうね,帰りたくないんですよ…。西洋画家の伯父さんちに来たような気持ち(そんな人,いないけど)。古いながらも隅々まで手の行き届いた空間,心地良い靴音のする板張りの床,暖色系でちょっと暗めの間接照明,荒れているわけではなくただ自然のままと感じられる中庭…。あまりの居心地の良さに,お勘定時,店主の御婦人に「泊まることは出来ないんですか?」とつい(別に口説いている訳ではありません)。もちろん食事も美味かったぁ。



Mánudagur, mars 21, 2005
Art Meets Media

朝イチでICC。『アート・ミーツ・メディア:知覚の冒険』。

最終日ということで混雑を予想していたんだけど,思いの外,すんなりと。
しかし,最大の期待を持って臨んだ池田亮司の「db」が全く心に響かなかったのが何とも。緊急停止ボタンまで渡されて体験する真暗な無響室での音の恐怖には退屈感を覚え(比べるものじゃないんだろうけど,Square Pusherのような音のほうが聴いててよっぽど命の危険を感じる),そこから転じて訪れる真白空間はそのディテールの甘さが気になってダメ。天井の剥き出しになった蛍光灯,そこかしこに隙間のある床材(下から覗く黒い筋がそこかしこに…)…。ガッツリ金をかけて作れば『2001年宇宙の旅』のあの白い部屋になり得たかもしれないのに。

一方,堪能したのはRafael LOZANO-HEMMERの「Frequency and Volume--Relational Architecture 9」。スクリーンに映る自分の影の位置で様々なメディアの音が聴こえてくる。田舎に住んでいた時に,東京のラジオが聴きたくて深夜にアンテナをグリグリ動かしていたあの感覚(ここでは自分自身がアンテナ)。しかし途中で韓国ドラマらしい男女2人の安い恋愛模様が流れ出し,ついその展開に釘付け。逆にこの周波数を逃したくないと体を硬直させて聴き入る。


Sunnudagur, febrúar 13, 2005
Shadow Dancing

朝イチで世田谷美術館,「瀧口修造:夢の漂流物」

諸々の展示物の多くは過去に紙媒体で見つめていたものを立体として再確認する作業が主。もちろん,それがおもしろくないかと言われるとメチャメチャおもしろい訳ですが,だからといって強烈に感情を揺さぶられることはさすがに無し。

なんてヘタな余裕をぶちかましながら,一休みするかと展示順路途中にある休憩スペースへ足を踏み入れる…。

畏怖と戦慄で足が動かず。一日中ここにいてその景色の変化を眺めていたい。出来ることなら朝から晩までビデオを回したい(休館日にスタッフの方がやってくれないっすかねぇ。DVDにしてくれたら絶対に買う)。そして,天気の良い午前中に来た自分の運に限りなく感謝(曇りや雨,そして日が暮れた後ではこうはいかないだろうし,また敷地図を眺めるとその方位から午後遅くではちょっと微妙な感じ(もちろん,実際に見てみないとわからないけど))。

ここでこれをやろうと考えた人は「してやったり」と思ってるんだろなぁ。どなたかは存じ上げませんが,本当に素晴らしい体験をありがとうございます。

その後,渋谷パルコの地下でチェコのマッチラベルの展示を鑑賞。切手とはまた違ったおもしろさ。


Sunnudagur, febrúar 6, 2005
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ふらっと小石川。「学術標本の宇宙誌−COSMOGRAPHIA ACADEMIAE−」

Mark Dion「Microcosmographia」を再編集した展示。いかにも展覧会然としていた(展覧会だったんだから当たり前)当時とは異なり,いい具合に力の抜けた空間構成。来館者もほとんど無く,日曜日の中学の理科室,もしくは大学の研究室を思い出す。


Laugardagur, febrúar 5, 2005
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東大で「メディアとしての建築 - ピラネージからEXPO'70まで」展。ピラネージの版画集から国力・産業の発揚としての建築まで。

ロンドン・パリ・シカゴ・大阪などの万博に混じって,アルベルト・シュペーア(Albert Speer)の「光のドーム(Lichrdom)」。ちょっと調べたら,正面スタジアムはまだ現存してる様子。ニュル再訪時は是非とも。


Laugardagur, janúar 15, 2005
European Events

気になった展覧会三題。開催日の早い順にメモ。

まずは「ルイ・ヴィトン 時空を超える意匠の旅」

そもそも縁遠い世界だし,また現代のファッションとしての存在も全く興味無いんだけど,何かの本で見た「船旅用のブックケース」にとにかくやられた。その現物の展示があるのかどうかわからないけど,行ってみるだけは行ってみとこうかと。ただ会場が六本木ヒルズ。つらい…。


続いて「<ミュシャ> プラハ城切手展」
その筋では有名なミュシャ(またはムハ)のデザインによるプラハ城を描いた切手の展示。その下絵を利用したという入場券も気になる。会期が極端に短いのでそこだけは注意。


そして極めつけはポール・デルヴォー。昨年から日本で巡回展が催されていたのを今頃になって知ったよ…。慌ててスケジュールを見たら,残すは2/5からの福島美術館のみ。

デルヴォーと言えばやっぱりリーデンブロック教授。ベルヌの原作『地底探検』での偏屈爺っぷりが好きな身としては,デルヴォーの絵の中の教授はちょっと格好良すぎるきらいもあるんだけど,まぁそれはそれ(そもそも未だ実物を眺めたことがないんだから)。ベルギーと福島はどっちが近いんだよってことで,これを逃すと当分見る機会を失いそう。久しぶりに緑の新幹線に乗るか。


Laugardagur, janúar 8, 2005
Turn Turn

某所で招待券をもらったので,ビッグサイトへ赴き「骨董ジャンボリー」

初めて足を運んだこのイベント,出展数約500ということでただ徘徊するだけでもとにかく楽しい。結局,15時に入場して『蛍の光』の鳴り終わる18時ギリギリまでみっちり。

で,今日のお買い物。

050108aまずはなぜかカメラ屋の店先に並んでいた小さい硝子瓶を三本。これにミクロ貝殻を入れると良さそうということで。

ちなみにこのカメラ屋,いつその前を通っても女性客でいっぱい。なんでだろうと思ってよくよく見たら,店主はジ・アルフィーの真ん中の人(帰宅後,ネットで調べるとこのイベントの常連さんらしい)。どおりで。

050108b続いて日めくりカレンダー。昨年末の石垣島渡航時,初めて利用した羽田空港第2ターミナルで入った文房具屋「書斎館」(南青山に本店あり)にてアンティークのそれらを見て以来,ちょっとした興味の対象に。そしたら今日,一切の装飾を排したメタリックな佇まいのこれに遭遇。店主のオッサンのトークがおもしろかったことも相まってつい。

諸々の予定(しがらみとも言う)を把握するには週単位・月単位のカレンダーのほうがいいに決まってんだけど,そこはいい大人として生活にゆとりと潤いを取り入れたいの心。朝起きて日付をパタッと回転,更に右下のつまみで曜日をあわせる。そこからが一日の始まりというけじめ(まぁ,次第に忘れて複数日分をパタパタパタッとやるんでしょうがね)。またそんなこちらの気持ちを知ってか知らずか,会場では気づかなかった仕掛けも。31日から1日へはいきなり切り替わらず,その間に3パターンの英文,「Turn Top Toward Yourself」「Change Month」「Turn Slowly」が挿入。

その一方で,まだまだ大人になりきれない性根からある相似律を発見。11日のその姿,まんまボンバーマン…。
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こんなところで収拾つくかなと思ったら,最後に質実剛健な硝子ケースに遭遇。大きすぎず小さすぎず,値段もこの手のものでは破格。無造作に家中ちらかった異形の者や物どもの一括管理・陳列に適しているなぁということで購入。実際に使ってみたらこれがピッタリ。Playmobil,遮光器土偶,食玩,欧州土産,各種標本…。何でもこい。

ケース自体の佇まいは言うまでもなく大満足。硝子の色,角にあしらわれた金具の意匠などなど。こうなると無駄にライトアップしたくなってきた。


Sunnudagur, október 3, 2004
Reference

そぼ降る冷たい雨の中,東大の博物館まで。「『Systema naturae』〜標本は語る〜」,並びに「須田昆虫コレクション」展

鉱物・化石・動物骨格標本・昆虫標本…。まさにヴンダーカマーな展示の連続。ひと通り眺めて再確認したのは,己の小さく精細なモノへの偏愛傾向。特に小動物の骨格標本には格段の興奮を覚える。たまらなく手のひらに乗せて愛でたくなった土竜や溝鼠の全体骨格,小猿の向こうが微かに透けて見える薄さの頭蓋骨,更に蝙蝠の白骨からそのまま伸びる黒い爪の曲線(色のコントラストもたまらん)…。

後はいつものお決まり,この手の展示を見る度に自省する編集と整理の重要性(昨日と同じこと言ってるけど)。資料調査で所有雑誌・書籍を探そうとするも,空間の歪みに飲まれ姿を見せないことが頻繁に起きる我が家を何とかせねば…。

そこから流れて「美篶堂 美術製本展」へ。白い手袋をしての鑑賞。杉浦康平デザインの『井上有一全書業』,『モナリザ百微笑』。原研哉デザインの『紙とデザイン』に始まり桑沢賞の賞状まで食い入るように眺める。


Laugardagur, september 11, 2004
Letterpress

letterpress所用。後,活字を拾いに渋谷パルコの「印刷解体」へ。所望するのは「幻獣(= Imaginary Beings)」と月関連。が,そうは上手くいかず「幻」と「朋」,「朔」をおさえるに留まる。うぅ,せめて「獣」だけはなんとしても…。

渋谷の人混みよりも本の街の人混み,半蔵門線で神保町へ。『のだめカンタービレ #10』,「太陽」のバックナンバー3冊(谷中全生庵の幽霊画が数多く紹介された「お化けと幽霊」,「本の宇宙誌」,「南方熊楠」)などを捕獲し,『東京人』の神保町特集で知った未踏古書店の幾つかにマーキング。


Sunnudagur, september 5, 2004
Imagemakers

先月の半ば頃から見かけ始めたのか,その場所でその意図でやるのかと思っていたカップヌードルのCM。今月に入って洒落にならなく…。

DVD発売が待ち遠しい『School of Rock』。その前にあの掲示板でジャック・ブラックによる『LOTR』のパロディ(MTVで放送されたらしい)の存在を知る。褒め讃える言葉もないくらいにバカ…。しかもこれ,『王の帰還』『旅の仲間』のDVDに隠し映像として入ってるんだとか。それを認めたピーター・ジャクソンも素敵(そういやジャック・ブラック,『キング・コング』への出演が決まってたなぁ。楽しみ)。

某所でonedotzeroのフライヤー入手。10/1~3,青山スパイラルホールにて。オフィシャルサイトを見ると10/10にはプラハにて。意味もなくそっちで見てぇ。


Þriðjudagur, ágúst 24, 2004
Phantom in the Warehouse

genenjyo再び池袋。乱歩の土蔵,幻影城へ。室内の環境保存のために入り口からガラス越しに眺める。眼に入ったのはチェーホフやドストエフスキー,エンターテインメントの100年(洋書)など。本以外には手品道具なんて物もあった。しかし何よりもあの整理整頓の技に一番驚く。情報はただ持っているだけじゃダメなのよね。使いたいと思った時にすぐ使えるように日々の整理整頓が肝心。特に今の時代,情報そのものの入手は容易になっているんだから。

土蔵内の詳細は神保町.comにあるのでこちらで補完(ちなみにここ,澁澤龍彦の書斎もあります)。

池袋から丸ノ内線で淡路町,歩いて本の街。昼飯にアフガンカレーを食って店を出たら裏通りに見慣れない雑貨屋がオープンしている。中に入るとお手頃価格の硝子瓶。大小2種の値札がついているもののそこにあるのは1つだけで,どちらのサイズが分からない。そこで店主に訊くと,「小さいほうは表の店にありますんで,今持ってきます」といって扉の向こうに消える。表の店?。確か画材屋があったけどそこ?。大小2つを比較して大きい方を購入。まだ街歩きをしたいので帰り際に寄るからと取り置きにしておいてもらう。

レンタルCD屋でTabla Beat ScienceやCyro Baptista,古本屋で2冊ばかり文庫を入手し,そろそろ帰ろうかと先の雑貨屋へ硝子瓶を受け取りに。その道すがら,ブックブラザーに寄ったら何やら棚の雰囲気が違う。いつの間にか本以外にも雑貨を扱い始めてるよ。微妙に話の鎖が繋がり始めた予感を抱いていると,偶然,雑貨を購入するお客さんが品物をレジに持っていくところ。いつもの店主が「今,担当の者を呼びますので」といって背後の扉に消えると,そこからはさっき自分が硝子瓶を買った店の店主が現れた。やっぱり,表の店ってブックブラザーだったのかよ。


Laugardagur, ágúst 21, 2004
ggg(ginza graphic glass)

所用後,銀座へ。昨日,アンティークモール銀座からオークションの品が落札されたとの連絡を貰ったので,その受け取りに。落札したのはニッキ水の瓶,6本セット。薄氷のような硝子の薄さにトキメキ。ちなみにググッたらニッキ水ってまだ売ってるもんなのね。実は飲んだことないんだけど,あの毒々しい色は駄菓子屋で人生を学んだ者には堪らないものがありますな。

そのままgggへ赴き「Friendly Fire バーンブルック・デザイン展」。六本木ヒルズのCI,ダミアン・ハーストとのコラボで知られるJonathan Barnbrookの展示。私的好みから言えばちょっとデザイン過剰。でも将軍様や企業ロゴで作られた曼荼羅など,社会・政治問題をシニカルに扱う姿勢には共感できるものが。

帰り際,閉店セールの雑貨屋でガラス瓶が105円均一。何に使うかは後から考えるとして,とりあえず5本確保。ついでに小さい虫籠も何個か購入(こちらも105円)。例によって蝉の抜殻を入れてみる。持ってる抜殻の数だけ買ってもいいな。また買いに走るね,俺。


Laugardagur, ágúst 14, 2004
Prelude to the Beginning of the Game

朝起きて録画しといたオリンピック開会式のbjörkを見る(登場予定時刻5:00じゃリアルタイム視聴なんて無理)。各所によるとNHK総合・BS1では歌の間中アナウンサー・コメンテーターが喋り,テロップでデカデカと訳詞が出ていたりしたらしい。んー,見れて良かったBShi。機材トラブルがあったらしいけど(宙に浮かぶはずが飛び立てず),事情を知らないこちら側からすれば素晴らしかったの一言。

所用後,科博で「テレビゲームとデジタル科学展」。初めて現物を眼にしたモノに関しては目の保養にはなったけど,正直1,300円という入館料は高すぎ。まずもって実際に遊べるものが皆無。しかも筐体自体にも触れることが出来ず,ただただ遠まきにして眺めるだけ。更にオタなことを言えば,実際に手垢まみれにして遊び,また中には今でも少なからず所有しているモノを,両腕を組んでガラス越しにさも芸術品とありがたがって拝んでも楽しいわけねぇだろとも思ったり。

しかも展示のラストにはタイアップ企業の宣伝ブース。さすがにそれ自体を悪いとは言わないけれど,全展示スペースの半分以上はあるかというその広大さには激しく萎え。他に展示するものが無かったにしても,だったら存在する展示物をもっとしっかり見せるような空間作りは出来ただろうに。例えば,70'sの国産アップライト筐体(デパートの屋上の遊技場にあったようなゲーム)の幾つかは,パイプで組まれた2階立ての上に並べられていて画面はおろか筐体自体も全体像を掴めない。ほんと,馬鹿にしているとしか思えないやり口。っつーことで,入場料は500円が妥当。

文句ばっかり言ってても仕方ないので最後に勉強になったもの。
Magnavoxのゲームマシン「Odyssey」(1972)。スペイシーなボックスアート,ピクトグラムを多用したゲームに使用するカード類,更にインストラクションマニュアルに至るまでしっかり手がかけられている。テレビゲーム黎明期にその存在すら知らない人々に訴求するためにデザインがしっかり使われた好例として拝ませていただきました。


Sunnudagur, ágúst 8, 2004
The Ghosts You Draw on My Back

表参道から根津美術館方面へ向かい(いきなり余談。途中でPRADAのガラスタワー(PRADA AOYAMA epicenter)を初めて見る。とにかくファサードがすごいな。今度は夜に見てみたい),Cafe Eightでの「ハチミツカンパニー Bee Beeの至宝展」。本格西洋風蜂蜜屋として創業したハチミツカンパニー Bee Bee社が,今年350周年を迎えるということでそれを記念して行われた展覧会。つまりはクラフト・エヴィング商會のような架空に遊ぶスタイル。こういうのは大好きです。

青山墓地を突っ切って精神世界書店「ブッククラブ回」(特集に惹かれ(「神聖幾何学を極める」)『StarPeople』購入),更に旅専門書店「book 246」(例によって期待しすぎてガッカリする悪い癖)と本屋をはしご。

勢いで谷中全生庵にて幽霊画。画の公開自体はまるまる8月の間やってるんだけど,運悪く今日は同じ境内にて圓朝まつり。落語家の出店がいっぱい,客もいっぱい,更には交通整理のガードマンもいっぱい。空気がザワザワ五月蝿すぎて幽霊画を見る雰囲気ではなかった…。

それでも久しぶり(3年?。それくらい経ってそう)に見たこともあって堪能。月岡芳年や伊藤晴雨といった有名どころはもちろん,光村「月に柳図」(上記サイト,[全生庵.TV](ウィンドウが最大で開きます)→[幽霊画ギャラリー]→[サムネイル版]→40番)の地と図の関係性を使って見せる抽象の幽霊には悔しさすら覚える。

やっぱりもう1回,もっと人気の無い時にひっそりと見に行こ。


Laugardagur, júlí 10, 2004
Imaginary Beings in Japan

早起きして川崎市市民ミュージアム

先述のとおり,クレヨンしんちゃんの映画と「日本の幻獣」の展示目当て。しかし館内に入ると「谷岡ヤスジの世界展」並びに「現代日本デザイン100選」なるものも開催中で,これらがまた大変。まずは「谷岡ヤスジの世界展」,どっかで見た画風だなと思ったらYMO『OMIYAGE』の中にあった漫画の人(っつーか,それ以外は全く知らなかった)。続いて「現代日本デザイン100選」。何よりも驚いたのは,「NIKON F」のデザイナーとして亀倉雄策の名前が記されていたこと。言うまでもない東京オリンピックのポスターをはじめとして平面の人としか認知していなかったんだけど,あの直線を基調としたボディデザインは彼の手によるものだったんだ(その隣には同じく手がけたというオリンパスのハーフカメラ(名称失念)も。これ,実家で使ってたぞ)。

さて本命その1,「日本の幻獣」。まず何はなくともその姿を見ただけで13人もがショックで即死したという印旛沼のアイツ(リンク先のトップに鎮座)。会場に入るとその姿を引き伸ばしたものがいきなり壁一面に。ほぼ原寸(史料によると約4.8m)と思しきその大きさ,こんなのと出くわしたらそりゃショック死もするわ。他にも「件」(牛の体に人の顔)や「雷獣」(落雷時に天から落ちてくる幻獣の総称)といった今までは知らなかった幻獣の存在を学び,人魚や河童,白澤などをモチーフにした根付の技に見入り…。

本命その2,クレしん映画については最早とやかく言う必要無し。泣くために見てるっつーか,見る前から既に泣いてるっつーか。ひろしの回想シーンで,チャコの足踏みミシンで,ケンの「最近走ってないなぁ」で,しんのすけの爆走で…。涙涙涙。

結局,10時から16時までずっと館内いっぱなし。これだけの時間,ひとつのミュージアムに居続けたなんて,メトロポリタン美術館や大英博物館でも出来なかったこと。恐るべし川崎市。


Miðvikudagur, júlí 7, 2004
空中線

誘われて美篶堂空中線書局「空中線書局の手製本展」。

初日夜ということでオープニングパーティの雰囲気,本そのものはもちろん,活版をオブジェにしたものなど気になる作品は多かったものの,人が多すぎてその室温の高さに耐えられず…(空調も弱かったかも)。結局,早々に退散。また日を改めてゆっくり。

ところで今回のイベントで初めて知ったこの美篶堂,調べたら昨年秋に出来てたのね。んー,このエリアはエアポケットだった。湯島聖堂にも久しく足を運んでいなかったし(まだフリーマーケットってやってんのかな),ビリヤード淡路亭はずっと気にはなっていたものの,そもそもビリヤード自体しないし。新しくチャリルートに設定決定。


Sunnudagur, júlí 4, 2004
Realistic Fake World

待ちに待った「~虚構世界をリアルに描いた~石原豪人展」

常々,想像力,更に言うならば妄想力こそが人間が有する最も素晴らしい力であると思っているわけですが,それをあの画力で見せつけられたらそりゃもう言うことないっつーか,とにかく何を見ても大興奮。昭和40~50年代の怪奇・恐怖の世界を描いた作品はもちろん,その後のサブカル文脈で再評価された時期のものも展示されていたのは嬉しかった。中でも一部のゲームファン垂涎,『ファミコン通信』に掲載された「嗚呼! 感動 マリオブラザーズの青春」との再会はその最たるもの(会場内,笑いを堪えるのに必死)。

他には『宝島』掲載のものではそのページ隅に「構成:町山智浩」という記述を見つけ驚いたり,『June』や『さぶ』のような直球もの(その多くは林月光名義)よりも,むしろ児童小説の挿画の中にエロや耽美を強く感じたり(特に一連の大きな瞳におちょぼ口の少女。かつての安達祐実,またはジョンベネを彷彿とさせるチビッコ娼婦の系譜)。

Goujin残念ながら図録は後日発売ということで,ポストカードを1枚だけ購入。雑誌『ボーダー』に描かれたもので,お題は「ナスカの地上絵は日本人が描いた!?」。出雲大社に似た社の上空,遮光器土偶に手を引かれてUFOに向かうかぐや姫。その2人(1人と1体)を見上げるのはモーゼと大和武尊(…で,正解なのか?)。狂ってる…(当然の如く褒め言葉)。


Laugardagur, júlí 3, 2004
The Five-Ring Emblem

陽が高くならないうちに日本橋から銀座をさくっとひとっ走り。

INAXギャラリーで「動物園のデザイン展」,隣に警察博物館もあったのでついでにそちらも。POLA Museum Annexでは「巨匠が描いたオリンピックポスター展」。1972年ミュンヘン,Eadweard Muybridgeと思しき連続写真を用いた荒川修作が印象的。

帰り,日本橋高島屋に寄って余っていた商品券を使ってDVD『東京オリンピック』購入。全くの初見,よく言われるカット割りやカメラワークに注目しようと思うものの,やはりその歴史的事実に驚かされること多し。ドイツが東西統一チームとして出場していたり(調べたらこの東京までらしい),走り高跳びはまだ背面跳びが生まれていないし,観客席に若かりし長嶋と王がいたり…。


Miðvikudagur, júní 2, 2004
Iron Maiden

朝からチャリに乗って病院巡り。いつもの診療所で底をついていたRelpaxを入手し,眼科では処方箋をもらってコンタクトをメーカーに注文(相変わらずの即納不可。「乱視で近視で2週間使い捨て」ってそんなに需要がないんだろうか)。

昼飯は神保町で。色々悩んだ末に「元祖櫓」。いつの間にかナンが始まっていたのでそれでマトンカレー。

いい具合に腹が膨れたところで拷問器具。明大の博物館がリニューアルしたというので久しぶりに訪れる。なんと言っても「鉄の処女」(このページ下の画像にいる覆面人間,風貌が明らかに#4524よね)。ミュージアムグッズとして絵葉書やTシャツなんかも作られてて大人気。っつーか,これってNürnbergだったのね。前回訪れた時はまだPlaymobilを知らない頃だったのでその名前にもピンと来なかったんだけど,何かと縁のある町なことで…。

しかしネットで色々調べてもこれの本物がNürnbergにあるのかどうかは分からず(要再調査)。とりあえずドイツで拷問器具と言えばRothenburgのDas Kriminalmuseum(サイトには日本語の文章が。そんなに訪問者多いんか)しか思い浮かばない。


Miðvikudagur, maí 5, 2004
空海と高野山展

東京国立博物館で「空海と高野山展」

いくつか心に残ったものを。
「諸尊仏龕」(国宝・高野山三大秘宝 金剛峯寺)
  モバイル仏さん。円筒を二分割,その半分を更に二分割,計三分割されたその
  内側に釈迦如来・菩薩がぎっしり。こういう細かい技巧ものにはとにかく弱い
  んです。
「深沙大将立像」(金剛峯寺)
  左腕には蛇が巻き付き,首には七個の髑髏を掛け,腹部には童子の顔が現れ,
  両膝頭には象頭が。
「孔雀明王像」(重文 金剛峯寺)
  サイケデケリックと言っていいのか,とにかくヤバいっす。

あと,胎蔵界曼荼羅・金剛界曼荼羅はそれぞれ「womb world」「diamond world」と言うのね。どちらもそのまんまの訳なんだけど,胎蔵界のほうがより自然に納得できる。逆に金剛石=ダイヤモンドというリンクが自分の中ではまだどうにもしっくり馴染まないんだよなぁ。


Mánudagur, maí 3, 2004
Everything on Newspaper

東京大学総合研究博物館で「プロパガンダ1904-1945 新聞紙・新聞誌・新聞史」

今では少なくなったかもしれないけれど,かつて新聞紙は何かを包んで保存するために使用されることの多かったもの。つまり大事なのは包まれた側。しかしその包み紙としての新聞紙の方に視点を移せば,実は当時の状況を伝える非常に史料性の高いものだった。かつてマーク・ダイオンの「Microcosmographia」展で使われた手法に似た今回の展示。学内の様々な標本を包むために使われていた新聞紙の姿,またそこに書かれている当時の出来事…。一見無用なものが実は価値があるという主客の転倒が非常に興味深いです。

一方でもちろん最初から新聞として保存され歴史的出来事を伝えているものも世の東西を問わず数多く展示。なかでも眼を惹いたのは海外の言葉の和訳語。飛行船ツェッペリン号が「Z伯號」と書かれていたのには格好良すぎて異常な興奮を覚えました。他にもその時々の商品・雑誌広告のキャッチコピーやレイアウトデザイン,映画・演劇上映スケジュールなど,文化・生活分野からも非常に見応えあり。気がつけば1時間くらい見入ってたんだけど全然時間が足りない。また行かなくちゃ。


Sunnudagur, mars 7, 2004
All My Muscles Work Machine Like

東京都現代美術館で「球体関節人形展」。三浦悦子によるバイオリンとなった自らの体を爪弾く人形,そしてマリオ・Aの生身の人間を人形に見立てた写真が印象に残る。

一方で首を傾げたのは,機械・電子的物質と融合されたいくつかの作品。引き裂かれた人形の胸や腕から顔を覗かせるジャンパー,機械とハイブリッド化された人形の背後にはめ込まれた基盤…。宿主である人形に対する異常なまでの想像(創造)力の発露に驚かされる一方でのあまりの安っぽさ。だったら外見からメカメカしているほうがまだ説得力があるというか,皮膚の内側への想像力ってまだ拡大する余地があるんだな。と,生身の人間に近い皮膚感覚の人形よりもミクロマンのようなわかりやすい機械(電子)人間を愛する者としては思うのでした。



Sunnudagur, febrúar 29, 2004
かっぱぱぁ るっぱぱぁ

上野の森美術館で「小島功画業60周年記念展」

私にとっては「黄桜」の河童よりも『ヒゲとボイン』の作者として敬愛して止まない方(かつてビッグコミックオリジナルを愛読していたので)。「100人の美女」というサブタイトル(もっと長かったかもしれないけど忘れた)通り,メインはキャンバスに描かれた数々の美人画(なかには「風神雷神」(もちろん裸体)なんてのも)。

それ以外では雑誌・新聞連載の漫画(『ヒゲとボイン』はここ),そしてもちろん「黄桜」の河童達なども。その中でも特に気になったのはイラストが用いられた各種製品・商品の展示。そこでピチカート・ファイブ『PIZZICATO FIVE REMIXES 2000』を発見。ジャケイラストに小島氏を起用するとは,さすがと言うかそつがないと言うか(っつーか,小西康陽は似すぎです)。

そういえば『ヒゲとボイン』の単行本って見たことないなと思ってたら,なぜかエンターブレインから出版予定。小学館との関係はどうなってんのだろう?。


Laugardagur, janúar 17, 2004
it snows like confeito

今シーズン初の雪を浴びながら,庭園美術館へ。「アール・デコ様式 -朝香宮がみたパリ-」を鑑賞。

アール・デコ様式の数々の作品群はそれなりに想像の範囲内のものだったのでざっくりと眼を通す程度にし,1925年にパリで開催された「現代装飾美術・産業美術国際博覧会(アール・デコ博)」のパンフレットや会場地図,各パビリオンの造形などを注力して鑑賞(幾つになっても博覧会モノに弱い体質を拭い切れず…)。

しかし最大の収穫は,展示テーマとは全く関係ない特別展示品。根付に通じる小さきモノに宿る精緻の技巧。そしてそこに込められた意味。あぁ欲しい…。


Laugardagur, desember 6, 2003
ガスト・ノッチな気分で行こう!

『テレビゲームの展覧会 レベルX』へ。

言うまでもなく展覧会というものは,そこに展示されているモノに少なからず好意や関心を持つ人が足を運ぶイベントでありますが,それ故に展示物を眺めること以上にそこに集う人々の反応を観察しているほうが刺激的なことだったりすることも個人的に多々ありまして。で,今回がまさにその極致。会場全体を周回するように並べられたガラスケースの中に全ファミコンソフトが鎮座していた訳ですが,来場者全員と言っていいでしょう,もう皆,語る語る。しかもその内容がイチイチおもしろく,且つ熱いもんだから,それらに聞き耳立ててるだけで楽しくて仕方なし。

「俺,16連射できたんだよ」(『スターフォース』)と今は柔らかい親指の腹を見せて自慢する人(昔,ギターやってたことを自慢するオッサン?),「昔,高橋名人っていうゲームのめっちゃ上手い人がいたんだよ!!」(『高橋名人の冒険島』)と高橋名人を知らない連れの友達に力説する女性,「あぁ俺,ミポリンに電話したことある…」(『中山美穂のトキメキハイスクール』)と己の恥部を彼女に吐露する彼氏,「このゲーム,友達の○○に貸したまま返してもらってねぇよ」と21世紀になって友情に亀裂が走りそうになっている若者…。ほんと,会場で話される会話をすべて録音して後世に伝えたいよ。

ネンドのTシャツを着たオシャレゲーマー(男性複数グループ多し)も,何も知らない彼女や奥さんを無理矢理誘ってやってきた元ゲーマーのお父さんも,体から香ばしい匂いを発してフリープレイのゲームに興じる現役ヲタも(さすがにその後にコントローラーを持ちたくはなかった…),少ないながらも熱いトークを聴かせてくれた女性だけのグループも,ほんと,あんたら最高。

しかし,ただひとつお話にならなかったのが会場で販売されている図録。この尋常ならざる写真の酷さは何?。全体に暗いだけならまだしも(いや,ほんとバカみたいに暗いんだけどね)色相まで狂っているものも…。印刷ミスを掴まされたのかと思ったけれど,何冊か見たところでみんな同じ。各々のソフトの保存状態(日焼けや経年変化による色褪せもそりゃあるでしょう)を考慮に入れたとしても資料としては全く使えねぇ。この展覧会のアートディレクターであり,且つそれらの写真の撮影者として奥付に記されているSaruBRUNEIの人は,一体どうしてしまわれたのでしょうか?。

気を取り直して。
帰宅後,iTunesを立ち上げて聴いてしまったのは,やっぱり細野晴臣『Super Xevious』。こちらは全くもって色褪せません。


Mánudagur, nóvember 3, 2003
Variety Shows

次から次に各種イベントをはしご。

まずは原宿でThe Peter Saville Show(『Koyanisqqatsi』でアンケートを提出したら招待券をくれた。ありがとうA新聞(こんな時だけ))。普通に格好良いところはいいとして,Wham!『Last Christmas』を手がけていたことにとにかく驚く。

そのまま渋谷に流れて,たばこと塩の博物館にて『大見世物展』。ちょうど開館記念日ということで半額で入場(ありがたや)。期待していた"The Freak Show in Japan"な要素はほとんどといっていいほど無かったものの,各種出し物を描いた数々の絵図に見入る。また立体物も充実で,干物で出来た神棚やら,江ノ島の土産物屋でよく見かける貝殻で作られた飾り物やら,頭部を箪笥で作った獅子舞やら,驚くべき想像力の世界。『ディスコミュニケーション』の世界をちょっとだけ現実に見たような。

駅に向かう道すがら,シネマライズ横で開かれていた杉浦茂展にも偶然遭遇。こういうのに腹を立てる自分にも腹が立つくらい,無意味なコラボレーション(有名どころの方々が描いたタペストリーがダラリとぶら下がってる)に辟易。『キャシャーン』や『デビルマン』などを実写映画化する昨今流行の過去を無駄に食い潰した表現行為に感じたものと同じ嫌悪感がドス黒く腹の中に充満。更にはやる気の無い店員(皆,カウンターの中でうつむいて氏の漫画を読みふけってる)の姿も相まって,お前らに杉浦茂への愛はあるのか,今これをやって一体誰が得してんだよと小一時間(言うまでもなく以下略)。

怒りを鎮めつつ半蔵門線で神保町へ。毎年恒例の古本まつり。最終日に行ったところでハイエナ共に荒らされた跡しか見られないのはわかっていたこと。しかし今回はそれに加え空からは無情の雨が落ち,屋外の出店はほとんどが店じまい。こんなに寂しい気持ちになった古本まつり,初めて。

そんな閑散とした景色のなか,某所で『アートジャパネスク』全18巻発見。おぉ,市場で見かけたの5年ぶりだよ。でも50,000円という価格はちょっとなぁ(1冊3,000円しないと考えれば法外でもないのかもと思いつつ…)。ということで,保存用にもう1セット欲しいところではあるんだけどスルー。何も買わなかった古本まつりも初めてということに。



Sunnudagur, október 5, 2003
Ondes oniriques

最終日にようやく中川幸夫『誘いの夢…』を見に,ガラスブロックで覆われた銀座エルメス(こんなことでもないと絶対に入らない場所)へ。頭の中が全てそれで満たされんばかりに立ち込めるラベンダーの香り(パンフレットによるとその量は700kg)に激しい眩暈。

地中海をテーマにした展示,だからこそ,そこに自生する花であるラベンダーが敷き詰められているにもかかわらず,わずかに残された頭の片隅に浮かんだのは,やはり尾道の女子高生…。