待ちに待った群馬アート紀行。
まずは伊香保,牧場の中に建つハラミュージアムアーク。 伊香保は何度か訪れていたけれど,こんな美術館があることは全く知らず。しかもそれが品川にある原美術館の別館だとは。
牧場を奥へと進むと現れた漆黒の木造建築(ちなみに設計は磯崎新)。A・B・Cと3つに分かれた展示棟を,その中心にある屋外ロビー(屋根付き)を介して行き来する。想像よりもコンパクトな内容ではありましたが,それが物足りなさではなく濃密さを増す方向で感じさせるところが見事。特に正方形のA棟は,中央に倉俣史朗,そしてそれを囲むように四面の壁には荒木経惟・杉本博司・Robert Mapplethorpe(ロバート・メイプルソープ)などが。中でもHelena Almeida(エレーナ・アルメイダ)の『Ouve-me』がかなりツボ。
B棟は扉を開けるといきなり毒々しい黄色と黒いドットの洪水。直島の海岸にポツンと佇む,草間彌生のあのカボチャのイメージが部屋全体を覆っている。直島では何も感じなかったけど,こっちにはそりゃもう気が狂いそうになるほど大興奮。
外庭の一角にはウォーホールのキャンベルズが(しかも巨大)。ぽつねんと佇む姿がどこか微笑ましい。
満喫しすぎて時間が押し気味。急いで群馬県立自然史博物館へ車を飛ばし,本日のメインイベント,「ニッポン・ヴンダーカマー 荒俣宏の驚異宝物館」へ。
今日という日を選んだのは氏の講演を聴くため。初めての生アリャマタコリャマタ,堪能いたしました(図録にサインもしっかりと頂く)。個人的なところでは,プラハのストラホフ修道院の話が出たのがちょっと嬉しかったり(澁澤龍彦と荒俣さんの著作を見て行こうと思ったんで)。
講演終了後,展示を拝見。
ヴンダーカマーと言えば,かつて東大で開催されたMark Dion(マーク・ダイオン)の展示を思い出すんだけど,あちらには整理と洗練を感じたのに対し,こちらは見世物的な猥雑感が強調された印象。どっちが良いということではなくて,ヴンダーカマーはそれを作り上げた人の趣味嗜好が強く反映されるものだということ。いやぁ,いいもん見た。
またどうしても荒俣さんの名前が前面に出ちゃうけど,実はここの博物館の館長さんもスゴイってことがわかりました。展示されている館長所蔵の品々,おもしろすぎ。 特に各種動物の陰茎骨コレクション。その数もさることながら,記されたキャプションが秀逸。「はずかしい けど見せたい」
余談だけど,写真撮影を完全に許している博物館の姿勢に感謝。頭ごなしに禁止するところが多い昨今(見る側のマナーが悪いってのもあるとは思うけどね),非常に心地良い対応でした。ってことで,画像を幾つか。