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10月

聴けば遠く

先週水曜から欲しい本が一冊あった。
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恩蔵茂『FM雑誌と僕らの80年代–『FMステーション』青春記』
『FMステーション』と言えば,まさに音楽原体験。中学生時分に欠かさず買っていた雑誌であり,これでエアチェックの情報を得,付録のカセットレーベルにレタリングもしたもの。もちろん,鈴木英人のイラストも忘れられない。しかし,思い入れがあるだけに一度は手に取ってその内容はもちろん,本の体裁も確かめてみたいと,ネットでの注文をせずに書店で探すことにする。
「在庫がございません」という返答をもらうこと五度六度。仕事終わりが22時頃になると,大きな書店に足を運ぶことが出来ない。その時間までに足を運べるとなると,昼休みに行ける範囲にある地元に根ざした比較的小規模な書店,または家路の途中に寄れるJR駅構内の書店くらい。その何処でもことごとく手にすることが出来ず。実物を確かめてからという想いがあったからこそ,手間と時間をかける気持ちも持続したものの,すぐにでも欲しいとなれば,そりゃAmazonで注文しちゃうよと思った数日間。
結局,休日の銀座で訊ねると,あっさりと在庫有りの言葉。その手触りと内容を確認した上で購入。帰りの電車の中で待ちきれずに読む,その時のBGMはBrian EnoのiPhoneアプリ『Trope』。
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これまでのようにミュージシャンの手によって完成品としてリリースされた楽曲ではなく,その場でリアルタイムに自動生成される音楽(自分で奏でることも可能)。80年代というエアチェックの時代を綴った本を今という時代に読みながら聴くには,ある意味,最も適した音楽なのかもしれない。ちなみに前作アプリ『Bloom』が点描だとすると今回の『Trope』は線描の音楽。個人的にはこちらが好み。

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