Archive for 10月, 2009

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23
10月

書店に通うということ

何事も頼りすぎてはいけない。
日々お世話になっているRSSリーダーが,たけうま書房さんの更新を取得出来ていなかったようで,春の一箱での出品について褒められていたことを更新から10日も経ってから知る体たらく。大変に失礼いたしました…。ちなみに箱の内容はこれこれのような感じでございます。
さて。
今夜はショップインショップの形態で丸善丸の内本店4階に誕生した,松岡正剛さんプロデュースの書店「松丸本舗」のプレオープンへ。
確固たる目利きの存在,実体としての本の力,これからの書店ビジネス…。その圧倒的な存在感だけではなく,見る人の立場によって様々な想いを巡らせるという意味でも素晴らしいもの。個人的にも考えたいことが色々あります。が,一介の本好きとしてはもっとシンプルに。久しぶりに日参したい書店が出来たこと,そしてそれが自分の生活圏内にある喜びを強く噛みしめたい。
その昔,高校生だった頃。放課後に必ず寄る書店があって。それはまだ本を自由に買えなかったために,日々通っては次々読み切ってやろうという目論見があった一方で,とにかくその書店の棚の並びが好きだったという理由も多分にあったはず。なぜこの本とこの本が隣同士で並んでいるのか?,この偏ったセレクションは誰の仕業?。など,一冊一冊の本の中身だけではなく,それぞれの関連性で本を考えるきっかけであり,また棚を作る人の存在を意識する始まりがここに。実際,読むだけなら学校でも市や県の図書館でも良かったはずだし。
年齢を重ねるにつれそんな想いも薄まったのか,また金銭よりも地理的・時間的制約を言い訳とするようになったからか,はたまたネットに頼りすぎなのか。とにかく毎日足を運ぶ書店が無くなったし,またそれで困りもしなかった(唯一,八重洲ブックセンターの恵比寿三越店だけは常に気になる存在だったが,棚の規模が小さく,また毎日通うには遠すぎた)。
しかし,これからはそれが目の前にある。こんな幸せが他にあるでしょうか。

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12
10月

遅ればせながら

遅ればせながら,10日の「秋も一箱古本市」。
地元不動産屋での茶飲み話が盛り上がり,最初の会場「宗善寺」に着いたのは12:30も過ぎた頃。おかげで雨は避けられたけど,出店者の方々は大変だったご様子。
今回の主たる目的は「セカイカメラ」による箱撮影。
この「セカイカメラ」というサービス(敢えてアプリじゃなくてね)の良さは,場の記憶がネットではなくその現地に残されるところではないかと。バーチャルとリアルの間とでも言うか,ある場所で起きた過去の出来事を遠く離れたモニタ上ではなく,その場に行って初めて知ることが出来るという感覚が面白い。
091012_akimohitohako09.jpg
それでもパブリックなものではあるので,実際の撮影については知り合いの方々を中心にお願いして実施。新たに会場となった大圓寺を除いた(すっかり忘れてた)各会場に,店主さんの箱を撮影した画像が数にして15弱ほど浮かんでいます(上の画像はC.A.G + Neglaでセカイカメラを立ち上げた際のスクリーンキャプチャ)。それぞれをクリックするとオリジナルサイズの画像と共にテキストで「秋も一箱09:○○」(○○は,それぞれのお店屋号)というコメントも表示されますので,どの箱がどの出店者かはもちろん,今後同じ会場で一箱古本市が開かれ同じようにセカイカメラで撮影しても,2009年秋のものとわかるようになっています。iPhoneユーザーの方は谷根千散歩の折に覗いてみてください。もしくはセカイカメラで巡る一箱古本市ツアーなんかも面白いかもね。皆がiPhoneの画面を覗きながらゾロゾロ歩いては,「おぉ,この年はこんな箱だったのか」なんて言うの。怪しさ満点。
各会場を廻る道すがらはTwitterを覗く。いろんな方がこの古本市について呟いていて楽しい反面,ハッシュタグが活かされていないために散漫な印象は拭えず。情報は集約されてこそ輝くところもあり,イベント終了後に振り返る際には非常にもったいないこと。って,ハッシュタグの利用を強くプッシュしない自分もダメなんだけどね。一応,#akimohitohako09で見られますのでどうぞ。来年の一箱では,このハッシュタグを使ってねと事務局が宣言しておいてもいいかも。
本の購入は6冊ばかり。中でも「やまがら姉弟文庫」で入手した『The Christopher Robin Story Book』がお気に入り。探していた全面赤い本。新たに赤い棚へ仲間入り。

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5
10月

聴けば遠く

先週水曜から欲しい本が一冊あった。
090905_FMMagazine.jpg
恩蔵茂『FM雑誌と僕らの80年代–『FMステーション』青春記』
『FMステーション』と言えば,まさに音楽原体験。中学生時分に欠かさず買っていた雑誌であり,これでエアチェックの情報を得,付録のカセットレーベルにレタリングもしたもの。もちろん,鈴木英人のイラストも忘れられない。しかし,思い入れがあるだけに一度は手に取ってその内容はもちろん,本の体裁も確かめてみたいと,ネットでの注文をせずに書店で探すことにする。
「在庫がございません」という返答をもらうこと五度六度。仕事終わりが22時頃になると,大きな書店に足を運ぶことが出来ない。その時間までに足を運べるとなると,昼休みに行ける範囲にある地元に根ざした比較的小規模な書店,または家路の途中に寄れるJR駅構内の書店くらい。その何処でもことごとく手にすることが出来ず。実物を確かめてからという想いがあったからこそ,手間と時間をかける気持ちも持続したものの,すぐにでも欲しいとなれば,そりゃAmazonで注文しちゃうよと思った数日間。
結局,休日の銀座で訊ねると,あっさりと在庫有りの言葉。その手触りと内容を確認した上で購入。帰りの電車の中で待ちきれずに読む,その時のBGMはBrian EnoのiPhoneアプリ『Trope』。
Trope.jpg
これまでのようにミュージシャンの手によって完成品としてリリースされた楽曲ではなく,その場でリアルタイムに自動生成される音楽(自分で奏でることも可能)。80年代というエアチェックの時代を綴った本を今という時代に読みながら聴くには,ある意味,最も適した音楽なのかもしれない。ちなみに前作アプリ『Bloom』が点描だとすると今回の『Trope』は線描の音楽。個人的にはこちらが好み。