Archive for the ‘ 本々 ’ Category

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24
2月

Tree of Codes

Jonathan Safran Foer "Tree of Codes"

2月上旬、Tower Records渋谷店にて、Jonathan Safran Foer『Tree of Codes』を購入。

・Visual Editions: Jonathan Safran Foer “Tree of Codes”

Tree of Codes: 表紙

最初に存在を知ったのは「monogocoro」にて。

・monogocoro: 20101126 本の形をした彫刻(Tree of Codes)

心奪われたのは、もちろんこの文章が切りこまれた姿。しかし、著者であるJonathan Safran Foer(ジョナサン・サフラン・フォア)の名前にも見覚えが。収集癖のある主人公という設定に惹かれて見た映画『Everything is Illuminated(邦題:僕の大事なコレクション)』の原作者でもあり。どちらかひとつでも購入を検討する理由となるのですが、それがふたつとなると問答無用。本のジャンルとしてはどういったものなのか、どうしてページがカットされているのかといった背景を全く調べることなく、ただただこの目で見たい、手で触れたい。

しかし、購入への行動には大幅遅刻。昨年12月半ばにamazon.comでオーダーしたところ、発送は1ヶ月後とのアナウンス。ところが、実際に1ヶ月経った今年1月半ばになって、発送は3月になるとの再通知。待つかキャンセルするかの選択を問われているところにタワレコのツイートで入荷を知り、即座に電話。無事に入手となりました。

あとがきから本を読む癖で、まずは裏返し。すると裏表紙に推薦文と思しき文章。読み進めて最後に記された名前に辿り着くと、そこにはOlafur Eliasson(オラファー・エリアソン)と。ここでその名前を目にするとは。2人の関係までは知りませんが、更に期待は高まります。

Tree of Codes: 裏表紙(オラファー・エリアソンのコメント)

あとがきに目を通すと、Bruno Schulz(ブルーノ・シュルツ)『The Street of Crocodiles』の文章を切り抜くことで、新たな物語を創り上げているとの説明。そう、The Brothers Quay(ブラザーズ・クエイ)の『ストリート・オブ・クロコダイル』、その原作。何だか、これまでに見聞きしたことのひとつひとつがパズルのピースのようにはまって一冊の本になったかのよう。

切り込まれて作られた文章の簡単な一例を。

一番最初に上げた画像では「whole generations wore his mask.」となっています(文法的に気になるのですが、それは後述)。またそのように個々の単語が重なってひとつの文章になっているものに加え、下記の画像のような2つのページに跨って1つの単語になっているものも。上のページの「keyboard」と下のページの「less」が繋がって「keyboardless」

Tree of Codes: 言葉の繋がり

眺め触れているだけでも既に満足なのですが、そこに物語があるとなると少しでも知りたいと思う気持ちもフツフツと。そこで実際に十数ページ読み進めてみましたが、これが思いの外、頭に入ってきません。何ページ後ろまで遡ってカットされているのか、何ページ分の言葉が重なってひとつの文章になっているのかといった好奇心からくる理由はもちろんですが、それと同時に惑わされるのは、文章、そして単語そのものの形。

Tree of Codes: 悩ましい文章

カット位置によっては、こんな単語は存在しないだろうと思うものがあり、果たしてこれで正しくカットされているのかと気になっては先に進むことが出来ません。知らない単語があっても、まずは全体を読み通せと言われた受験英語の記憶が蘇ります。このままでは埒があかないので、一度書きだして整形した後に読むと良いのかもしれません。

と、内容にまではまだまだ踏み込めてはいませんが、見る、または所有するだけでも満足の一冊であることには変わりありません。何処かの素晴らしい出版社が邦訳を出してくれることにも期待したいです。

最後に裏表紙に記された出版社であるVisual Editionsの言葉を。

Visual Editions is a London-based book publisher. We think that books should be as visually interesting as the stories they tell; with the visual feeding into and adding to the storytelling as much as the words on the page. We call it visual writing. And our strap line is “Great looking stories.”

これを見た瞬間、牛若丸出版が頭に浮かびました。このような出版社としての姿勢が記された本に惹かれてしまいます。

A message of Visual Editions

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10
2月

不忍ブックストリーム 第7回「助っ人さんいらっしゃい!」

昨夜、「第7回 不忍ブックストリーム」の配信を行いました。
今回のテーマは「助っ人さんいらっしゃい!」

不忍ブックストリートの助っ人班からは吉井さん・吉上さん。助っ人さんからは、たけうま書房さん・猪熊さん・三五さん。そしてスカイプゲストとして、助っ人さんを経験されたデイさんが大阪から出演してくれました。

助っ人さんとは何かから始まり、その具体的な活動内容、そして助っ人さんご自身からの体験談んも披露していただきました。

春の一箱古本市の助っ人さん募集も始まっています。

・しのばずくん便り:20110209 助っ人さん募集します!


不忍ブックストリームでは毎回、出演者がお気に入りの一冊を紹介してくれています。配信中にツイートしないことも多いので、これからはリストとして残しておこうと思います(以前のものについても、随時アップするつもりです)

今回、紹介された本はこちら。

吉上さん

『やっぱりおおかみ』 佐々木マキ / 福音館書店

吉井さん

『百万遍 流転旋転』 花村萬月 / 新潮社

たけうま書房さん

『しかたのない水』 井上荒野 / 新潮社
『松嶋×町山 未公開映画を観る本』 町山智浩・松嶋尚美 / 集英社

猪熊さん

『東京映画名所図鑑』 富田均 / 平凡社
『心は孤独の狩人』 カーソン・マッカラーズ / 新潮社

河上さん

『アンダスタンド・メイビー』 島本理生 / 中央公論新社

三五さん

『LOK-MAGAZIN KALENDER 1982』 ドイツの鉄道雑誌の日めくりカレンダー
『プロコフィエフ短編集』 著:セルゲイ・セルゲーエヴィチプロコフィエフ / 訳:サブリナエレオノーラ・豊田菜穂子 / 群像社

個人的には『しかたのない水』と『LOK-MAGAZIN KALENDER 1982』に惹かれました。
前者はスポーツクラブが舞台だそうで、私自身もそこでは色々な体験をしているのでどんなエピソードが描かれているのか興味を覚えました。
後者は見た目がもう…。オレンジの地に黒文字の表紙、モノクロの写真・イラスト・図面、日付の太いフォント(特定するまでの知識は無かった)も効果的なアクセント。不忍の鉄道好きとしても知られる、古書ほうろうの宮地さんの食いつきっぷりも見事でした。

次回の不忍ブックストリームは2/24。
テーマは「羽鳥書店まつり1周年」

昨年2月に駒込大観音光源寺で開かれた、羽鳥書店社長である羽鳥和芳さんの20年分の蔵書を大放出した伝説の古本市。当時の様子は主催された古書ほうろうさん、そしてタグで追える谷根千ウロウロさんのブログを。

・古書ほうろうの日々録:20100112 開催決定!羽鳥書店まつり

・谷根千ウロウロ:羽鳥書店まつりタグ

ゲストはもちろん、羽鳥さんご本人。そして主催された古書ほうろうから宮地さん。あれから1年。当時の様子を振り返っていただくのはもちろん、現在の羽鳥さんの蔵書についても話は及ぶことと思います。

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6
2月

時と場を旅して

旧暦正月も過ぎて、ようやくのあけましておめでとうございます。

春節を祝う台湾から本が届きました。

台北のオンライン古書店「胡蝶書房」さんより、以前から気になっていたドイツのインゼル文庫。その中から貝の一冊を。

・胡蝶書房: Das kleine Buch der Meereswunder (Insel Bücherei Nr.158)

Das kleine Buch der Meereswunder (Insel Bücherei Nr.158):表紙

インゼル文庫(Insel Bücherei)とは、ドイツのインゼル社(Insel Verlag)から1912年に創刊された叢書。現在も続くシリーズですが、胡蝶書房さんが扱っているのは主に1930年代に刊行された自然博物画の描かれたもの。

私が購入した本について、胡蝶書房さんのサイトから引用させていただきます。

原画はドイツの版画家フランツ・ミヒャエル・レーゲンフス(Franz Michael Regenfuß, ca1712-1780)の手になるもの。

おそらくデンマーク王フレデリク五世(Frederik5., 1723-1766)に献呈された”Auserlesene Schnecken, Muscheln und andre Schaaltiere”(「貝と甲殻類精選」)から選定されたのではないか、と思います。

テクストは「蝶の生活」(Das Leben der Schmetterlinge, 1928)などの著作でも知られるドイツの詩人・小説家、フリードリヒ・シュナック(Friedrich Schnack, 1888-1977)。

本を開くと、色鮮やかな海中世界。

索引では当時の学名でしょうか(今とは少し異なるものも)、貝の名称も英・独の2種類で記されています。

Das kleine Buch der Meereswunder (Insel Bücherei Nr.158):画 01

Das kleine Buch der Meereswunder (Insel Bücherei Nr.158):画 03

成長する前のもので且つ完全な形では無いので同定に自信がないのですが、手持ちで似た貝とも一緒に。200年以上前に描かれたものが現代と繋がる。当たり前のように考えてしまいますが、この画とこの本が辿った道、更にはこの貝が辿った道。その双方を想うと奇跡のような出会いです。

Babylonische Turn (Turris babylonia / Pleurotoma Babylonica / ハデクダマキ)

巻末には文章と画の印刷会社の名前。その画の方はH. F. Jütte。京都大学電子図書館に金沢大学が所蔵する「近代教育掛図」から耳の解剖図が見つかりました。「近代教育掛図」自体も知らないものでしたが、これまた魅力的な博物画の数々。

・京都大学電子図書館:近代教育掛図「人体解剖図 耳」(H. F. Jütte, Graph. Kunstanstalt, Leipzig.

・京都大学電子図書館:近代教育掛図

インゼル文庫自体についても興味を惹かれましたので、その他のラインナップをチラ見。ドイツの伝説の奇人、ティル・オイレンシュピーゲルにまつわるものが。岩波文庫の『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』や、『のだめカンタービレ』で登場したシュトラウスの交響詩でも馴染みのあるもの。

ひとつの事象から次から次に関心が広がる楽しみ。

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21
12月

耐え忍ぶ不忍ブックストリーム

先週17日(金)不忍ブックストリーム第3回の放送を行いました。まさかのナンダロウさん欠席という困難を乗り切り、無事に終えることが出来ました。

・不忍ブックストリーム:20101217 第3回 「不忍ブックストリートが選ぶ今年の一冊」

テーマは「不忍ブックストリートが選ぶ今年の一冊」。一箱古本市に携わる実行委員・助っ人さん10人が出演し、それぞれが今年もっとも印象に残った一冊(新刊・古書問わず)を自身の言葉で語ってもらいました。

紹介された本のリストは、不忍ブックストリートのブログ「しのばずくん便り」に記しましたので御覧ください。

・しのばずくん便り:20101219 試練の不忍ブックストリーム

私が紹介したのはMartin d’Orgeval『Touched by Fire』。2008年、パリの博物商デロールを襲った火事直後の焼けた店内と標本を収めた写真集です。購入当時、このブログでも紹介したものです。

・tomblin:20091219「Touched by Fire」

日付の通り入手したのは昨年末ですが、今年3月、以前から愛してやまないアイスランドのミュージシャン、ヨンシーがデロールの火事を収めた写真集(この時点では書名が分からず)にアイデアを得てワールドツアーのステージデザインを行ったという報に触れたこと。その後、パリまで足を運んで彼のライブとデロールを両者をこの眼で見たこと。そして、今月になって、ヨンシーが影響を受けた写真集がこの『Touched by Fire』だと分かったこと。1年を通じてこの本の影響下にあり続けましたので、敢えて紹介させていただきました。

この一連の流れは、博物系の別ブログ「Imaginary Beings」に記してきました(偶然にも7日ばかり)

・Imaginary Beings:20100307「Jónsi meets Deyrolle」

・Imaginary Beings:20100607「裏を返す」

・Imaginary Beings:20101207「Sonic Menagerie」

さて、明日22日21:30より今年最後の不忍ブックストリーム。ゲストは、エロ漫画編集者の塩山芳明さんと東京堂書店ふくろう店の畠中理恵子さん。テーマは「忘年会」ということで、夕刻から近所の居酒屋で忘年会を行い、その流れのまま放送に入るそうです。「そうです」とは他人事のようですが、そうでも思わないと…。更に忘年会には「ブックスひろしま」から代表の財津正人さん、そして「ブックスひろしま」の“非公式”USTREAM配信「ぶっくちゅひろしま」のノヴィンさんも参加。もちろん、そのまま放送に加わるはず。ナンダロウさん不在の今回に続いて波乱に富んだ放送になると思います。

詳細は「しのばずくん便り」からもどうぞ。

・しのばずくん便り:20101220 今週のしのばずくん

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9
12月

Edward Gorey Auction

abebooksのブログ「Reading Copy Book Blog」にて、驚きのニュース。

20101208 Reading Copy Book Blog:Edward Gorey Auction

12月9日 11時(アメリカ東部時間)、Bloomsbury Auctionsにて、エドワード・ゴーリーの作品・所有品、あわせて60点がオークションに登場。

注目は、ゴーリーのトレードマークとしても知られる毛皮のコート。14点もの出品。

Fur Coat (via Bloomsbury Auctions)

本はもちろん、原画、またポストカードなどの印刷物も数多く。なかでも、ゴーリーの版権を管理していたことでも知られるニューヨークの書店Gotham Book Mart(ゴサム・ブックマート)関連の出品は、個人的に大好きな書店だけに刺さるものが。下記画像にある水色の栞は、ゴサム・ブックマートのために作られたものとのこと。

A Group of Ephemera (via Bloomsbury Auctions)

また、これまたゴーリーの作品に登場する中でも好きな言葉「SO MANY BOOKS; SO LITTLE TIME」のトートバッグ(サイン入り)も。

Signed tote bag (via Bloomsbury Auctions)

端から端まで全部くださいという気持ちなのですが、予想落札価格と懐具合を鑑みると実際に入札するには、なかなか厳しいものが(価格自体はとても破格だとは思っているのですが)。「Reading Copy Book Blog」の記事の締めくくりの一文に、首を痛めるほど縦に振りたい気持ちです。

If I find a bag of money today, I know where I’m going tomorrow.

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6月

ページを破いてポケットに

さて、前日の続き。

2年前に始めたScanSnapを利用しての紙モノ整理。
現在、そうして生成されたpdfの容量は70GBを超え、ファイル数も2,000を優に上回るものとなっています。

こうなると必要となるのが、Mac上での管理。全てのpdfファイルにはOCRをかけていますので、その内容検索を用いて情報を有効に活用したいもの。

そこで利用しているのがIronic Softwareのpdf管理ソフト「Yep」

Ironic Software:Yep

基本的な使い方は、今でも使用当初に記したエントリー「本の内外」のまま。

tomblin:20080417:本の内外

上記エントリーにも記していますが、このソフトを使う理由はタグを用いたファイル管理ScanSnapで取り込む際に適切なタグを入力し、それを頼りに求める情報に辿り着きます。もちろん、OCRをかけたpdfですから全文検索も可能(OCRの精度は置いといて)。そこからこれは重要な内容と判断した時にはタグを付加していきます。

更にこのYep、i文庫HDにファイルを転送する際にも非常に役立ちます。部屋の本棚を眺めて、こう思ったことはないでしょうか?

「ここに並ぶ全ての本から一括で単語検索して、必要なページを取り出せたら便利だよなぁ」

i文庫HDの現バージョン(1.02)では、pdfファイルに対して検索機能が適用されません(青空文庫では単語長押しで可能)。ページに対してのブックマーク機能はありますが、それも個々のpdfファイルについて。例えば転送した複数の雑誌のpdfファイルで同じ人物名が登場するところにブックマークをつけても、それぞれのファイルを開く必要がありますし、そもそもそのブックマークをつけた箇所を覚えておかないといけません。

しかし、Yepとi文庫HDを組み合わせることでこれが実現出来ます。

具体的な例をひとつ。
近々パリへ行くのですが、そのために彼の地の情報をスキャンして作成したpdfの中から抽出してi文庫HDに転送し、旅先で活用したいと考えました。

まずは「Paris」というタグが付けられたファイルを調べます。そこから更に別のタグ(「Bookstore」だったり「Museum」だったり)を辿り、これと思うものがありそうなファイルを見つけます。

Yepでタグ検索

Mac OS Xのアプリ「プレビュー」で開いてファイル内で「パリ」と語句検索。そこで表示されたページからお目当てのものが見つかれば、メニューから「選択したページをプリント」を選び、pdf保存。それをi文庫HDに転送します。i文庫HDの中では専用の棚を作成し、そこに転送したファイルを全て登録すれば、他のファイルと混ざらずに閲覧出来るので便利です。

i文庫HD:抽出した雑誌ページの棚

喩えるならば、雑誌の気になったページをビリッと破いてジャケットのポケットに入れて持ち歩くようなものでしょうか。タグで見つからなければ全文検索で探せばいいですし(お目当てを見つけるまで時間はかかりますが)、そこで見つかったものを新たにタグ付けしておけば後々にも役立ちます。

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31
5月

紙離れの文字:i文庫HD

iPadを入手して1ヶ月半。日本でも発売されたということで、そろそろ使い方についてまとめておこうかと。

Twitterでは度々つぶやいておりますが、iPadに求める最大の役目はpdfリーダー。ScanSnapで取り込んだ全ての紙データを持ち歩き、且つ快適に閲覧する。持ち歩くということでは、かつてiPodに所有する全てのCDを入れていたようなもの。快適な閲覧ということでは、iPhoneの画面サイズでは得られない体験を。

・tomblin:本の内外

・tomblin:iPad

そのために必須のアプリが「i文庫HD」。青空文庫リーダーや、テキストファイルの読み込みなどの機能もありますが、それらはひとまず後回し。pdf

最近話題の電子書籍の側面から言えば、やはり雑誌。ページの見開きはもちろん、左右開きの選択にも対応。またpdfの任意のページを表紙の画像に設定することも可能(デフォルトでは1ページが自動で設定されます)ですので視認性も抜群。

i文庫HD:雑誌棚

また個人的にオススメしたいのは、各種フライヤー・チラシの類い。展覧会や映画、更に私の場合は落語会と、至る所で手にするそれらをクリアファイルに入れて保存しておくものの、現実的にはそう滅多に見返すものではなく。だったら、まとめてスキャンして保存しておいたほうが閲覧性・検索性が上がって便利。

i文庫:チラシ棚(展覧会)

またこれらの多くはペラ一枚。雑誌のように裁断することもないので、作業の敷居も低く、捨てるに忍びない場合もそのまま保管しておけます。正直なところ、iPadに入れて持ち歩く類いのものかと言われると疑問符がつきますが、それは人それぞれに使い方があるということで。

しかし、こうスキャンしたpdfファイルが増えてくると必要になるのが、Mac上での管理。更にi文庫HD、またiBooksでも提供されていないデジタルデータならではの使い方。

ということで、おそらく明日に続きます。

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24
1月

The Night Life of Shinobazu Book Street

昨日は、今年から加えさせていただくことになった不忍ブックストリート実行委員会の会合に初参加。通算10回目ということで原点回帰的な話も出て、朧気ながら自分が考えていた方向とも合致。色々と提案することが出来れば。

終了後、宴席へと向かう道すがら「音の台所」の茂木さんから、インドの絵本『The Night Life of Trees』を教えてもらう。

100125_nightlifoftrees.jpg

そのタイトルの通り、インドの木々が夜に見せる様々な姿を表した内容で、その造本は全てシルクスクリーンによる手作業。またインドの印刷らしい香りも素晴らしいとのこと。歩きながらabebooksを眺めると$30〜が相場、送料を加えると$50くらいかなというところで酩酊の世界へ出奔。

日付変わって今日、改めて調べてみると定価が$39.95で、日本国内の書店では8,000円を超える様子。これならabebooksのほうが少しでも安いかなと思っていたところ、amazonではそのままの3,400円。さすがと言うか、一気に食指が動く。

しかし、ここで先日購入した『Touched by Fire』を思い出す。版元のSteidlに注文したところ、メッセージと共に素晴らしいカタログが同梱。オマケ欲しさというわけではないけれど、直接購入だからこそのサービスが嬉しかった。そこで調べるとやはり。版元のTara Booksでも直販、しかも定価よりも若干安価での提供。

Tara Books: The Night Life of Trees

ちなみにサイトでは、この本に登場する木々のプリントも販売中(ここでしか買えない様子)。こちらも気になります。

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21
1月

架空に遊ぶ

またひとつ、願いが叶った。

イタリアの建築家・工業デザイナーであるLuigi Serafiniが著した『Codex Seraphinianus』を入手。

100121_codex.jpg

1976年から1978年の間に30ヵ月掛けて文章と図版を書き上げたといわれる百科事典。その内容は架空世界の事象であり、また使用されている言語も解読不能なもの。

百科事典という形式が好きなところに来て、更にそれが架空世界の事象を扱うとなれば、その関心も二重に惹かれるというもの。『ヴォイニッチ手稿』はもちろん、架空世界の国が発行した切手を描き続けたDonald Evansにも繋がる興味の対象として、長らく入手を夢見ておりました。しかし初版はもちろん、その後の版も到底手が届く価格ではなく、そのため入手どころから本の存在についても想いを馳せることが無くなっていました。それが昨年夏に2006年から廉価版が登場したことを知り再燃。購入の機会を伺っていたところ、今年になってまさかの15%オフ。これはと思い切ったというわけで。

Kindleはじめ、電子書籍の話が騒がしい昨今。実際、Kindleも購入してその利便性を大いに享受してもいるのですが、この本を実際に手にとって見ていると、紙で所有したいと思わせる本が確実にあることを実感します。

章立てなどはWikipediaを。
Wikipeda:コデックス・セラフィニアヌス

また、本書の各ページを画像で掲載しているサイトもあります。
Biblioteca Gráfica Digital

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19
12月

Touched by Fire

2008年2月1日、パリの剥製商であるデロール(Deyrolle)を襲った突然の火事。そこで被害にあった剥製・標本を用いた展覧会「Nature Fragile」が催されたのが同年11月。複数のアーティストが参加し、同名の図録も発売されました。

その「Nature Fragile」にも参加した写真家Martin d’Orgevalが、単独でこのデロールの火事をモチーフとした写真集『Touched by Fire』を刊行。出版元であるSteidlに注文し、無事届きました。

091219_Touched_by_Fire_02.jpg

見開きの右ページは、火事の被害にあった額装標本が次から次に。標本として息を引き取った生物が火事により再び息を引き取ったその姿が、皮肉にもこれほどまでに美しいとは。これをそのまま額装したい。

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見開きの左ページは最初から最後まで文字がびっしり。これはAで始まる鱗翅類の名称で、その数は33,000。それらのデータは「Catalog of Life」から引っ張ってきたもの。

091219_Touched_by_Fire_01.jpg

布張りの装丁はウェブで見る小豆色に近い印象を裏切り、より赤みがかったもの。これならばと赤い本シリーズの仲間入り。

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望外の喜びは、同梱されていたSteildlの2009/10の出版カタログ。『Touched by Fire』よりも一回り大きいサイズで。これがそのまま写真集と言ってもよい造本。刊行される本もまた、木箱や布袋などを使った凝ったものが多く。価格がほぼ同じだからとamazon.comで買わなくて良かった。出版社から直接購入する行為を忘れちゃいけない。