Tree of Codes
2月上旬、Tower Records渋谷店にて、Jonathan Safran Foer『Tree of Codes』を購入。
・Visual Editions: Jonathan Safran Foer “Tree of Codes”
最初に存在を知ったのは「monogocoro」にて。
・monogocoro: 20101126 本の形をした彫刻(Tree of Codes)
心奪われたのは、もちろんこの文章が切りこまれた姿。しかし、著者であるJonathan Safran Foer(ジョナサン・サフラン・フォア)の名前にも見覚えが。収集癖のある主人公という設定に惹かれて見た映画『Everything is Illuminated(邦題:僕の大事なコレクション)』の原作者でもあり。どちらかひとつでも購入を検討する理由となるのですが、それがふたつとなると問答無用。本のジャンルとしてはどういったものなのか、どうしてページがカットされているのかといった背景を全く調べることなく、ただただこの目で見たい、手で触れたい。
しかし、購入への行動には大幅遅刻。昨年12月半ばにamazon.comでオーダーしたところ、発送は1ヶ月後とのアナウンス。ところが、実際に1ヶ月経った今年1月半ばになって、発送は3月になるとの再通知。待つかキャンセルするかの選択を問われているところにタワレコのツイートで入荷を知り、即座に電話。無事に入手となりました。
あとがきから本を読む癖で、まずは裏返し。すると裏表紙に推薦文と思しき文章。読み進めて最後に記された名前に辿り着くと、そこにはOlafur Eliasson(オラファー・エリアソン)と。ここでその名前を目にするとは。2人の関係までは知りませんが、更に期待は高まります。
あとがきに目を通すと、Bruno Schulz(ブルーノ・シュルツ)『The Street of Crocodiles』の文章を切り抜くことで、新たな物語を創り上げているとの説明。そう、The Brothers Quay(ブラザーズ・クエイ)の『ストリート・オブ・クロコダイル』、その原作。何だか、これまでに見聞きしたことのひとつひとつがパズルのピースのようにはまって一冊の本になったかのよう。
切り込まれて作られた文章の簡単な一例を。
一番最初に上げた画像では「whole generations wore his mask.」となっています(文法的に気になるのですが、それは後述)。またそのように個々の単語が重なってひとつの文章になっているものに加え、下記の画像のような2つのページに跨って1つの単語になっているものも。上のページの「keyboard」と下のページの「less」が繋がって「keyboardless」
眺め触れているだけでも既に満足なのですが、そこに物語があるとなると少しでも知りたいと思う気持ちもフツフツと。そこで実際に十数ページ読み進めてみましたが、これが思いの外、頭に入ってきません。何ページ後ろまで遡ってカットされているのか、何ページ分の言葉が重なってひとつの文章になっているのかといった好奇心からくる理由はもちろんですが、それと同時に惑わされるのは、文章、そして単語そのものの形。
カット位置によっては、こんな単語は存在しないだろうと思うものがあり、果たしてこれで正しくカットされているのかと気になっては先に進むことが出来ません。知らない単語があっても、まずは全体を読み通せと言われた受験英語の記憶が蘇ります。このままでは埒があかないので、一度書きだして整形した後に読むと良いのかもしれません。
と、内容にまではまだまだ踏み込めてはいませんが、見る、または所有するだけでも満足の一冊であることには変わりありません。何処かの素晴らしい出版社が邦訳を出してくれることにも期待したいです。
最後に裏表紙に記された出版社であるVisual Editionsの言葉を。
Visual Editions is a London-based book publisher. We think that books should be as visually interesting as the stories they tell; with the visual feeding into and adding to the storytelling as much as the words on the page. We call it visual writing. And our strap line is “Great looking stories.”
これを見た瞬間、牛若丸出版が頭に浮かびました。このような出版社としての姿勢が記された本に惹かれてしまいます。
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