Archive for 11月, 2012

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11月

三尺下がって、師の影踏まず

   Posted by: fumi    in Wunderkammer

敬愛するブログ「天文古玩」の玉青さんが、拙ブログから2つの記事に触れてくれました。こんなに嬉しいことはありません。

・20121103 天文古玩:休日はデロールへ(附・国書刊行会からの挑戦状)

触れてくれた記事、ひとつは9/13、デロールの店内バーチャルツアーに関する「Visite virtuelle de Deyrolle」 もうひとつは10/11に記した、驚異の棚を模した国書刊行会の小冊子を紐解くエントリー「国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊 その後」です。

・20120913:Visite virtuelle de Deyrolle
・20121011:国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊 その後

玉青さんは、書かれた記事の中で、私の名前を「Tizit 」と記してくださっています。これは、私がユーザーとして参加しているサイト「関心空間」でのみ使っているハンドルネーム。「参加している」と言っても、すっかり御無沙汰してしまっているので、自分でも何故そのユーザー名にしたのか忘れかけていました(笑) そんな健忘症の自分のためにも、ここに由来を書き留めておこうかと。

『2001年宇宙の旅』のHAL9000がIBMを1文字ずらして名付けられたという説(キューブリックは否定したなど、諸説ありますが)と同じ命名ルールによって作られた名前です。ずらした文字数は後ろに3つ。つまり、前に3つ戻ると「Qfwfq」 御存知の方には御存知、イタロ・カルヴィーノの『レ・コスミコミケ』や『柔らかい月』に登場する謎の老人です。「三尺下がって、師の影踏まず」というか、いや、3歩(3文字)後ろの距離で追いかけられるような人では無いのですが、無理を承知で、あんな爺さんになりたいなぁという願望からのことでございます。

師といえば、勝手ながら玉青さんを師と想う気持ちも。
これからも色々、お教え頂きたく。よろしくお願いします。

9/20に記した、驚異の棚を模した国書刊行会の小冊子を紐解くエントリー「国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊」 その表紙に描かれた驚異の棚の同定調査、その後のその後です。

簡単にこれまでの経緯を。
まずは9/20の最初に記したエントリ−。これに対して、敬愛する博物系ブログ「天文古玩」の玉青さんからコメントを頂きました。

・20120920:国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊

そのコメントから新たに出自が判明したオブジェについて記したのが、10/11のエントリー。

・20121011:国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊 その後

このエントリーに対して、かんざきしおんさんから新たに4点のオブジェに対するコメントを頂きました(ブログへの反映が遅れ、失礼しました)

ということで、今回のエントリーは、そのかんざきしおんさんのコメントに対する調査報告から。
調べたところ、残念ながら教えて頂いたものが、国書の小冊子に掲載されているものと全く同じではありませんでした。しかし、そこから検索のヒントを得て、わかったことがあります。

まずは、今回の全ての発端、国書刊行会の小冊子『国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊』の装丁を(画像クリックで拡大します)

国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊

今回、かんざきさんから教えて頂いたなかから、まずは棚番号18の石膏像(鼻・耳・口)
これはおそらく、ミケランジェロ作、かのダビデ像のパーツではないかと。
調べ始めて最初にひっかかったのが、大英博物館が作ったという目・鼻・耳・口の4点。

・Quirao.com: David Nose (by Michel-Angelo) 19 cm by British Museum

David Statue Parts (this image from Quirao.com)

確かに形は似ていると思い、調べを進めたところ、更に大きな画像を見つけ確信を強めました。

・石膏像ドットコム: ダビデ像の鼻
・石膏像ドットコム: ダビデ像の口

ダビデ像の鼻・口(石膏像ドットコムより)

2つめは、棚番号33の貝の化石。
かんざきさんからは「スカシカシパン」と教えて頂きました。私は「タコノマクラ」と思っていました。スカシカシパンは、タコノマクラ目カシパン亜目スカシカシパン科。タコノマクラは、タコノマクラ目タコノマクラ亜目タコノマクラ科。仲間ではありますが、科が違うもの。
ここで今一度、小冊子の画像を眺めると、中央下部に縦長の開口部が。これを頼りに調べたところ「キーホールサンドダラー」ではないかというところまで来ました。ちなみに「サンドダラー」は「スカシカシパン」の英名。ということで、かんざきさんの考えのほうが、より近かったということになります。

しかし残念ながら、小冊子に使われているキーホールサンドダラーの出自の発見までには至りませんでした。

3つめは、棚番号36の昆虫。
かんざきさんから「サカダチコノハナナフシ」と教わりました。教えて頂いたリンクを辿ると確かに。しかし、これまた小冊子との同定までには至りませんでした。

しかし、その過程で見つけた素晴らしいアート作品が。アーティストのJennifer Angusによる標本を題材とした作品の数々。イスラムのタイルを想起させるような、円を中心に幾何学的に配置された虫達(サカダチコノハナナフシも使われています)の美しさ。

・FiberARTS: The Work of Jennifer Angus:A Closer Look

The Work of Jennifer Angus: A Closer Look (this imege from FiberARTS)

Jennifer Angus 自身のサイトもありますので、こちらも。ウィスコンシン大学のデザイン学科の教授だそうです。

Jennifer Angus

最後、4つめも同じく棚番号35の蝶。
「ヒメジャノメ」とコメントを頂きましたが、眼状紋と縦に走る白色帯の位置関係が逆になっているところが気になっています(だからといって、じゃぁ何なのかと特定出来る知識を持ち合わせていないところが情け無いのですが) 更なる調査を続けたいと思います。

ということで、それでもひとつ、石膏像の出自は判明したと言ってもよいでしょう。かんざきしおんさん、ありがとうございます。