Archive for 12月, 2012

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12月

収集・分類・陳列

   Posted by: fumi    in Exhibition, Playmobil

人には得手不得手があります。
それは博物趣味とて、同じこと。その主な要素である収集・分類・陳列に関して、『緋色の研究』でワトソンがホームズに対して行った評価を、自分で自分に対して下してみると、次のようになるでしょう。

・収集
得意。集めるための調査・探究力に長けている。
ネットを介し、世界中どこからでも入手せんとする意志と行動力も有する。

・分類
極度にムラがある。
きっちりと調べ上げ、その保管も専用の箱を用い、またパソコンでデータベース管理しているものがある一方で、集めておきながら何もせず、そのまま放ってあるものも散見される。

また、このムラは実作業のモチベーションにも当てはまる。
やる時は寝食を忘れてやるが、やらない時は全くやらない。
故に、蒐集品をダブって購入したり、逆にひとつだけ欠けるなどのミスを犯す。

・陳列
最も苦手とするところ。
基本、自分だけが眺めるものであり、その見栄えには無頓着になりやすい。加えて、収集したものは自らが愉しむためのもの、対外的に発表することではないという意識も強いため、スキルを磨く向上心も欠落している。

今回は、その最後の話。
最も苦手とする陳列の機会に恵まれました。

東京の台東区と文京区が跨るところ、いわゆる谷根千と言われるエリア。その谷根千の「谷」 谷中にあるカフェ「Couzt Cafe(コーツトカフェ)」にて12/1から始まった「プレイモービルコレクション展」に私物のプレイモービルを展示させてもらっています。

まずは、その模様をお店のブログで。

Couzt Cafe ブログ:プレイモービル コレクション展スタート!

このブログでも何度か触れたプレイモービルですが、改めてご紹介。
プレイモービル(Playmobil)は、1974年、当時の西ドイツで誕生した子供向けのおもちゃ。似たようなレゴが四角のブロックから新たな形を「創造」する遊びであるのに対し、プレイモービルは、ごっこ遊び。具象的なパーツを組み合わせて情景を「想像」する楽しさに長けています。その存在を20世紀後半に知り、2000年代の半ば頃まで夢中になって集めました。それだけでは飽きたらず、ディズニーにディズニーランドがあるように、プレイモービルにも「ファンパーク」というテーマーパークが世界5ヶ所にあり、その中のドイツ・フランス・マルタ、3ヶ所にまで足を運ぶほど。

プレイモービルコレクション展 at Couzt Cafe

今回の展示、メインは未開封のアイテム。「Playmobil Special」と呼ばれる、1994年から1年に12個発売されているシリーズで、その200超の中から80個を壁に並べてみました。普段、段ボール箱に収納していたこともあり、こうやって並べてみると壮観なこと。他には、本国ドイツ以外(アメリカ・イギリス・ギリシャなど)で発売されていたライセンス商品。更におもちゃ本体以外で、キャリングケースやカセットテープ、ゲームボーイソフト、カードゲームなどの周辺商品も並べました。

プレイモービルコレクション展 at Couzt Cafe

しかし、箱だけではプレイモービルの魅力は伝わりません。先に述べた「想像」に遊ぶ楽しさを示すため、実際にふたつのシーンを作成しました。

プレイモービルコレクション展「結婚パーティー」 at Couzt Cafe

ひとつは、結婚パーティー。
新郎新婦と参列者。パーティーを彩るバンドにカメラマンなどを、複数の商品からパーツを選択して作成。新郎新婦の右で侍女が焼く豚の丸焼きは、元々、海賊の商品に入っていたものです。

プレイモービルコレクション展「魔法の森」 at Couzt Cafe

もうひとつは魔法の森。博物趣味としては、こちらがメインと言わざるをえません。
壁が崩れた建物の中にある魔術師の研究室。1階では、森の小人達にレクチャーする老魔術師。2階では、望遠鏡で空を眺める老魔術師の弟子。かぎ鼻の老魔女と蛇の杖を持つ魔女が薬草と骨を煮込む。

プレイモービルコレクション展「魔法の森」 at Couzt Cafe

「陳列」をすると、「分類」と「収集」も動き出します。
陳列のためには遡って分類が必要。この数年、ふたつの大きな箱にただ放り込んでいたプレイモービルを綺麗に洗い、テーマ(警察・海賊・中世・宇宙…)毎に仕切り板を設け、デジタルデータ化したことで処分したCDの収納に使っていたケースに入れました。すると、見えなかったものが見えてきます。ダブって所有しているものが見えるのは良いとして、欠けているものが見えると、その先の行動はひとつ。更に遡っての収集が始まります。ここまで来れば、眠っていた欲望が目を覚ますのは自然の理。欠けているものを探すうちに、これも欲しいあれも欲しいと新たなアイテムが目の前に。

終わったかと思っていた旅が、再び始まってしまったようです。

プレイモービルコレクション展「お菓子の家」 at Couzt Cafe

プレイモービルコレクション展 at Couzt Cafe

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