Archive for the ‘Travel’ Category

5
2月

博物のパリ

   Posted by: fumi

蒐集の道は日々の積み重ね。「博物蒐集家の応接間」に足を運んだことで、怠惰が過ぎたこのブログも少しは息を吹き替えそうという想いが湧きました。

とはいえ、長らくエンジンに火が入っていなかったので、まずは暖機運転。過去の整理で筆慣らし。

「博物蒐集家の応接間」会場にて、パリを訪れる方との会話があったことを想い出しましたので、過去に私が訪れたことのある博物にまつわる場所を撮影した写真と共にまとめてみようかと。

 

Les Catacombes de Paris(カタコンブ)

パリ市内、ダンフェール=ロシュロー広場の南に広がる地下納骨堂。地上からの深さ20m、全長は約2km。納められている遺骨は600万とも700万体とも言われています。チェコのコストニツェまでの装飾性はなく、どちらかと言えば淡々と積まれた人骨の中を1時間弱の旅。それだけの時間を過ごすと、歩き終わり地上に出た時の此処は何時の何処だという所在の無い感覚が心地良くて忘れられません。

Les Catacombes de Paris

Les Catacombes de Paris

Le musée de la Chasse et de la Nature(狩猟自然博物館)

1964年、ラグメーカーにして狩猟愛好家のフランソワ・ソメが開館した狩猟博物館。狩猟に使う武器・仕留められた動物の剥製・狩猟にまつわる絵画彫刻などの美術品、3つのテーマに分かれて展示されています。現代美術との親和性も強く、2008年のデロールの火事で焼け出された剥製・標本を使用した美術品の展示・オークションは此処で行われました。

Le musée de la Chasse et de la Nature

Le musée de la Chasse et de la Nature

Le musée Fragonard d’Alfort(フラゴナール博物館)

動物標本と人体標本で知られる博物館。なかでも解剖学者Honoré Fragonard(オノーレ・フラゴナール)の手による、皮膚が剥がされ筋肉や血管が露わとなった人体標本の数々は、目を逸らしたくなるも目を見張らざるをえず。

Le musée Fragonard

Le musée Fragonard

Le Cabinet de Curiosités de Joseph Bonnier de La Mosson

Le Cabinet de Curiosités de Joseph Bonnier de La Mosson

Le Cabinet de Curiosités de Joseph Bonnier de La Mosson

Grande Galerie de l’évolution(進化の大ギャラリー)で知られる国立自然史博物館の一角、図書館内に並ぶ驚異の棚。18世紀の貴族、ジョセフ・ボニエの収集物で、今日よく知られる驚異の棚の典型としての見応えあり。図書館自体は近代的なため、その差異もある意味で見どころ。

 

Musée d’Histoire de la Médecine(医療歴史博物館)

パリ第5大学内にある医療系博物館。吹き抜け2層の空間で、施術用器具を中心に義手・義眼などの人体系も並ぶ。日本から持ち込まれた人体経絡模型も。画像はオブジェだったか杖の頭だったか記憶が定かではないが、メメント・モリが強く印象に残ったもの。

Musée d’Histoire de la Médecine

Musée d’Histoire de la Médecine

ここからはショップ。

Deyrolle(デロール)

言わずと知れたの感ある博物商。とにかく、行けばわかります。

Deyrolle

Deyrolle

Claude Nature(クロード・ナチュール)

同じく博物商。サンジェルマン大通りに面したガラス張りの外観ということもあり、デロールに比べれば気軽に訪れることが出来ます。

Claude Nature

Claude Nature

La Librairie Alain Brieux(リブラリエ・アラン・ブリウ)

医学・科学系の古書店であると共に、それらにまつわるオブジェや器具も扱う。今思うと、今回の「博物蒐集家の応接間」に最も近い雰囲気を持っているのではと。少し距離はありますが、デロール→リブラリエ・アラン・ブリウ→クロード・ナチュールと歩くのも楽し。

La Librairie Alain Brieux

La Librairie Alain Brieux

 

他にも、もちろん国立自然史博物館は外せないし、アンソリットなギャラリーも数々あります。私が次に訪れたいのはMusée des Arts Forains。英語にするとMuseum of Carnival Arts。日本語では縁日博物館や遊園地博物館などと訳されています。メリーゴーランドなどの乗り物や、球投げ・輪投げのようなゲームなど、移動遊園地のアトラクションを集めた展示施設。これからもまだまだ尽きぬパリです。

Musée des Arts Forains

 

 

1
12月

名古屋のデロールへ

   Posted by: fumi Tags: ,

明日から名古屋へ小旅行。

6月にパリで見たヨンシーのライブを、いよいよ日本で。東京公演において、先行抽選・一般発売共に完全敗北したための苦肉の策ですが、パリに比べたら名古屋はすぐそこ(しかし、名古屋・大阪は未だにチケットを購入出来るというのが。東京が異常なのでしょうね)。おそらく、これが最後の見納めとなる、デロールに発想を得たステージセット。堪能したいと思います。

EMI Music: Jónsi

ライブも楽しみですが、せっかくの機会ですから名古屋周辺の博物的なる場所にも足を運ぼうと調査。これは訪れてみたいと思う場所が幾つか見つかりました。

1. 東急ハンズ名古屋店:地球研究室

玉青さんのブログ「天文古玩」で目に留まった場所。

・天文古玩 20101118:「理科趣味アイテム、あります。」

化石・剥製・鉱石・実験器具… 博物好きの気持ちをくすぐる数々が並んでいるようです。東急ハンズということで、空間の怪しさは望むべきものではありませんが、いずれにせよこの目で確かめてみなければ。

2. 徳川美術館:「名古屋開府400年 徳川美術館開館75周年記念 特別展 国宝 初音の調度」

Twitter経由で教えてもらいました。
全くのノーマークでしたが、これが素晴らしく。特に箱物の数々には、箱馬鹿として胸躍ります。

そのなかのひとつ。16世紀に東南アジアからもたらされた「真珠貝玉箱」の怪しさたるや。同じ16世紀、神聖ローマ皇帝ルドルフ2世がプラハ城で愛でていたと言われても良さそうな造作。これを徳川家康が使っていたというのですから。

真珠貝玉箱

真珠貝玉箱 (via 徳川美術館)

3. 内藤記念くすり博物館

名古屋から足を延ばして、岐阜へ。
製薬会社、エーザイの創業者である内藤豊次が設立した博物館。

ここは以前から行きたいと思っていた念願の場所。ヨーロッパ・アメリカで足を運んだ医療系博物館に抱く期待と同じ物がここにはありそうです。

他にも、名古屋のキューガーデン、東山動植物園の温室や、数多の古書店なども訪ねてみたいものです。

15
6月

来た見た買った

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パリから戻りました。

ふたつの骨董市と古書市を巡りましたが、思いの外、財布の紐が固く。良いものはそれなりの価格で手が出しづらく、かといってお手頃のものはそれなりで食指動かず。何とも勝手なものです。

むしろ、ディスプレイに学ぶところが多く。頻繁に見かけたのが硝子ドーム。骨董市に限らず、市街地のギャラリーや様々な業種のウィンドウディスプレイに利用されていました。なかでも驚いたのはジェニー・ハニヴァーとのコンビネーション。しかも宿から徒歩1分のところにいるなんて。さすがに高くて(10万円超)手は出ませんでしたが、今回の旅にふさわしい出会い。

Glass Dome

Jenny Haniver in Paris 01

Jenny Haniver in Paris 02

財布の紐が緩んだのは、やはりデロール。
裏を返した土曜に続き、定休日の日曜を挟んでの月曜に再訪。色白の花魁、鼠の骨格標本を身請けです。

Deyrolle: Squelette de Souris

標本を支える木製の台には、デロールの店名と創業年が刻まれたプレート。自分にブランド嗜好があるとは思いませんでしたが、どうにもこればかりは別のようで。さながら大店の威光つきの花魁というところでしょうか(笑)

残念なのは硝子ケースがそもそも無いことですが、これはこれで格好はついていますし、また自作の楽しみもあると考えるのも良しです。

7
6月

裏を返す

   Posted by: fumi Tags:

Deyrolle: 20100606

パリ滞在、3日目の深夜です。

古本屋に蚤の市に(一風変わった)博物館と、何処へ旅をしてもすることは大体同じ。しかし、この街だけは加えて一ヶ所、博物商のデロールへ。

2年ぶりの2度目の訪問、しかも当時は例の火事から7ヶ月後ということで、今回は前回からの変更点を確かめようと思い、2階へと続く階段を上がりました。すると早速、空間の奥行が明らかに異なりました。デロールのサイトから画像を引用してみます。ここには3部屋写っていますが、前回訪問した際には奥の2部屋が閉鎖されており、写っている最前の部屋とその手前にある部屋の2部屋が中心でした(中心というのはこの最前の部屋の隣に細長い部屋がもうひとつあるため)。前回は期せずして復興途上のデロールを見ることが出来たのです。

Deyrolle (via Deyrolle Official)

これでやっと裏を返すことが出来ました。次は三回通って馴染みになる日の来ることを(旅の時を同じくして良いのなら、これから陽が昇れば確実に行くのですが)。

デロール以外では、前回行きそびれたカタコンベとフラゴナール博物館へ。特に後者への想いを叶えられたのは喜ばしく。館内最奥部の赤い部屋(東大「鳥のビオソフィア」の、あの赤い部屋を思い出しました)  に鎮座まします乾燥保存された人馬一体の姿に見惚れました。フィラデルフィアのムター博物館でも思ったことですが、人体保存にはドライかウェットしかなく、お前はどっちを選ぶと問われたら、間違いなくドライと答えることでしょう。

館内撮影可で、それは数多くシャッターを切ったのですが、さすがに刺激の強すぎるものばかり。今は自粛しまして、その代わりに扉に記されていた素敵な文字列を。この向こうに先述の赤い部屋が待っています。何故か驚異の部屋に赤はつきもの。その起源も辿ってみなければ。

Musée Fragonard

今夜は、いよいよヨンシーのライブ。
ステージデザインのモチーフとしただけに、ライブの前にデロールを訪れるのでしょうかね?(もしかしたら昨日、既に訪れていたりするのかも)

27
5月

Go Do

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パリ行きが決まりました。
2008年9月以来、2度目の訪問です。
ヨンシー(jonsi)のライブと、そのライブのステージプランに図らずも一役買ったデロール(Deyrolle)を一度に味わえるこの機会を逃すまじという、ただその想いから。

滞在期間は3日半。幸か不幸か土日を挟むということで、クリニャンクールとヴァンヴの蚤の市は避けて通れず。その間を縫うように、前回行きそびれたあれやこれやを中心に動き方を検討中です。現時点での懸念はカタコンベ。伝え聞くところによりますと浸水があったらしく、5/20から臨時閉鎖中。10日以内に再開してくれるのかどうか(そもそもなぜ前回に行かなかったのか、それ自体が不思議でもあるのですが)。

デロールは日参するのでしょうかね。
これまた幸か不幸か、近年稀にみるユーロ安。気をつけないと財布のひもが緩みそうで…

画像はエルメスとデロール、ダブルネームのスカーフ。
売上は2008年2月1日の火事に対する復興金として使われたそうです。

23
10月

おパリ

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ご無沙汰なことで。
書きたいことは色々あれど,ひとまず。

先月半ば,初めてのパリへ。
主たる目的は諸々の博物館・ヴンダーカマー巡りだったわけですが,そこはほらやっぱりね。Playmobil好きとしては忘れちゃいけないところがあるじゃないですか。
土曜の昼下がり。パリ中心部,Denfert-Rochereau駅からRER(地域急行鉄道網)に乗り,Antony駅で下車。そこからバスのはずだったんだけど,どうしてもバス停が見つからず日和って駅前からタクシーを使用。10分ほどで到着したのが,待ちかねた「Playmobil FunPark Paris」。

着いてみると郊外のロードサイド。アウトレットショップの多く入るショッピングセンターの一角にありました。何処の国もこういう場所の景色は同じなのね。

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エントランスの女性から(首にはPlaymobilロゴ入りのストラップ!)を購入し,入場。一本の通路から奥へと長い空間。その左右にプレイスペースがあり,一番奥に軽食と物販。入り口から奥までは普通に歩いて1分もあればたどり着けるくらい。

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園内は近在っぽい家族層でいっぱい。モノがモノだけに考えたら当たり前なんだけど,休日に家族で訪れるのには非常に適した場所。食事スペースはあるし,もちろんPlaymobilも遊び放題。街が出来るくらいに並んだ中世の家や,複数並んだノアの箱舟の姿はそりゃ壮観ですよ

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ただ極東のいちPlaymobil馬鹿としては,ガッカリするところも多く。
広大な敷地内に充実した施設の揃った本国ドイツと,限定品に加えて工場見学も出来るマルタ(移転してからは行ってないんだけど),これまでに訪れたこの楽しすぎた2ヶ所と比べちゃうと,ただ現行のPlaymobilで遊ぶだけというのはどうしても見劣りするよなぁ…。

密かに期待していたショップコーナーも,限定品の姿が無いのはもちろん,現行品を買うにもユーロ高(例のリーマンショックで9月頭に比べたら10円以上安くはなっていたけれど,それでもね)で日本で買ったほうがいいやと,結局手ぶらで退園。
正直,行ったという事実に満足感を覚えるってところかなぁ。いや,馬鹿としてはそれだけでも十分なくらいの満足感はあるんだけど,ちょっと期待が大きすぎました。

080920_04.jpg

23
12月

Christmas in Heaven

   Posted by: fumi

7年ぶりのロンドンに続いて,4年ぶりのドイツはニュルンベルク。
お目当てはもちろん,ドイツ最大のクリスマスマーケット。今日が今年の最終日のためか,日が沈む前から大混雑。そしてどこもかしこもグリューワインの匂いが立ちこめる。

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お膝元ということで毎年出店しているPlaymobil(Geobra Brandstätter)の屋台は,メイン会場・子供会場の両方で発見(4年前は子供会場にしかなかったと記憶しているんだけど)。
晩飯はもちろんニュルンベルガーソーセージ,場所はもちろんBratwursthausle。1人でソーセージ6本とアイスバイン(小サイズ)を食ってたら,隣のドイツ人おっちゃんおばちゃんグループにいじられる。こっちを指差しながら「日本人がアイスバイン食ってるぞ」,「あいつ,食いきれるのか?」(共に聞き取れた単語からの超訳)とニヤニヤ。こちとら,このために昼飯抜いて来てんだよ。たいらげて皿のひとつも叩いてやったら,笑いまじりの拍手を受けましたとさ。

18
12月

What does “Done” mean?

   Posted by: fumi

訳あって前世紀以来,7年ぶりのロンドン。

レートがひどくて(1ポンド=約240円。ちなみに7年前は160円くらいだったはず)何もする気が起きないなか,地下鉄構内で『Monty Python’s SPAMALOT』の公演ポスター発見。これは外せないだろうとボックスオフィスに駆け込み,2階の端っこ,20ポンドの席を購入。



基本ストーリーは映画『Holy Grail』。使われる曲もそこからのものが中心(『Knights Around the Table』や『The Tale of Sir Robin』など)で,その間に他のモンティの曲,またオリジナルの新曲などが挿入されながらの進行。オープニング,語り部の「これがイングランドの歴史です」という声で幕が開くと始まったのが『Finland』(もちろんセットも北欧テイスト)ってところでもう爆笑,そのまま持ってかれましたよ。

ちょっと驚いたというか納得したのは,舞台で『Always Look on the Bright Side of Life』が始まった時。それまでの曲では終了時に拍手するまではずっと静かに聞き入っていた観客が,この歌では歌詞が始まるや否や大合唱。この国の人にとって,やっぱり大事な曲なのねぇ。
フランス人・黒騎士・ニッの部族・キラーラビットと登場して,最後はまさかの客いじりで終演。いやぁ,楽しかった。

5
1月

The Taxi Driver

   Posted by: fumi

生駒山をくぐって大阪へ。

付き添いで入った心斎橋そごう。サライさん狙い撃ちのフロアがツボ。船旅メインの旅行会社が入っているところがわかってるなぁと(えらそうに)。

060105晩飯は念願の飛田百番。料理は二の次。元遊郭の建築意匠を堪能すべく,カメラとスケッチブックを持ってグルグル。部屋名・襖絵・窓格子・唐草…,眼に入るもの全てが勉強になりました(参考文献はこちら。『飛田百番-遊郭の残照』)。

宿への帰り,さすがにあの街を闊歩する気概は無く,百番横に止まっていたタクシーを拾う。しかしそれが功奏。ドライバーが語る,この町にふさわしい奇跡の物語に聞き惚れる。どこまでホントかわからない,でもホントでなくてもかまわない。っつーか,このまま何処までも走り続けて話を聞かせておくれよ。

4
1月

Gatefold

   Posted by: fumi

060104朝イチで山を下り北上,平城の京。
修学旅行以来の探訪で,春日大社→東大寺→二月堂。
夜はチョイ悪オヤジのお供。昼は大仏,夜は観音とは,話が上手くいきすぎ。