リンチさんのお天気レポートでお馴染みの街へ。
訪れて初めて「blue sky, golden sunshine」しか言わない意味がわかりました。本当にそんな日ばっかりなのね…。
そんな天気も嫌いだし,車とハイウェイばっかりの景色もまた嫌いだけど,来たからにはやっぱりリンチさんゆかりのここだけは是が非でも。
期せずして『美術手帖 10月号』が,リンチさん特集。
天神橋からオガメーラ
旅の締めくくりは初めての天満天神繁昌亭。
直に上方の高座に接するのは今回でまだ五度目。噺家さんの名前もまだまだ覚束ず,失礼ながら知った名前はトリの小春團治のみ。
「上燗屋」(小染),「三十石」(松枝),「田楽喰い」(福楽),やっぱり上方ならではの噺を直に聞けるのが嬉しい。
時の運ではあるものの,客席の雰囲気が非常に悪かったのは気になるところ。特に団体さんの非道は目に余るばかりで,大声での会話に留まらず噺の先を語る人まで現れた時には,さすがに高座からもツッコミが入った(笑いに転化していたところはさすが)。余計な詮索だけど,定席でも前売りを買わないと座れないほど大賑わいというのが痛し痒しなのかな。自ずと団体さんメインになるのでそこに雰囲気を決められてしまっては個人客は太刀打ちできず。
山を下りて天下の台所。
山の涼気が恋しくなる熱波の中,心斎橋から松屋町,空堀商店街を抜けて谷町六丁目,天満橋・北浜を廻って最後に肥後橋。知人のショップに裏を返すことが出来ただけでも満足。
夜は「志の輔らくご 文楽篇」。
偶々,日程があって,調べたらチケットが残ってて,久しく師の噺を聞いていなかったし,更に「文楽篇」ってくらいだから文楽も見られるのかも。くらいの軽い気持ちで予習することなく臨んだら…。
第一部。
閉じた幕の前でロシア人に扮した師が外人弁論大会で語るというもの。日本文化に触れる一環として見に行った文楽の様子を語り始めると舞台一転。幕が開くとそこには火の見櫓。それに登るは女性の人形。とくれば,演目はもちろん八百屋お七。
中入り後は師の落語。
旭山動物園のマクラから始まったのは「猫忠」。師の落語そのものを面白く聞けるのは,生意気ながらも了解済み。となると,この噺にどう文楽が登場するのか?。耳から師の声を聞いては笑いつつ,同時に頭では噺を先に進めてその登場時期を予測する。
そうくるのかっ!!。
四匹の愛らしい容貌,それでいて文楽ならではの繊細で切ない仕草。更にその後ろで義太夫を語るのは裃に姿を変えた師自身。想像だにしなかった極上のエンターテインメント。
終演後,物販を覗くとそこにはリアル「はんどたおる」。その洒落っぷり,更に今夜の素晴らしい舞台のお礼の気持ちもあって激しく購買欲を刺激されたけれど…。やっぱりこれはおまけで貰うものだからなぁと,心を鬼にして踏み留まる(笑)。