1
1月

半世紀の光 – 銀河の硝子

   Posted by: fumi   in Design, Miscellaneous

あけましておめでとうございます。

相も変わらぬ筆無精で、昨年の記事は8本。せめて今年は月刊、出来れば隔週刊ペースほどの数は書きたいもの。さてどうなることやら、ごゆるりとお付き合いのほどを。

元日の今朝、眼を覚ましてカーテンを開けたところ、陽光にきらめく窓ガラスの模様が眼に止まりました。同じ行動を毎日何年もやっているのに、何故今日になってなのかは判然としませんが、柄にもなく年頭にあたって日常の景色もちょっと特別に見えたのでしょう。

その窓ガラスの模様は、下のような満天の星空(わかりやすく色調補正してあります)

日本板硝子「銀河」

キャプションで先にネタバレしてしまっていますが、調べたところ、どうやら日本板硝子の商品で、その名も「銀河」1967年(昭和42年)発売ということで、半世紀近く前。アポロ計画真最中で東西の宇宙開発も華やかという時代の雰囲気が投影されたものと言えるのかもしれません。しかし、これを今の感覚で見ると洒脱に思えるから、時の流れというものは愉し。

情報の参考にさせてもらったのは、京都の不動産屋さんと、金沢のガラス屋さん。偶然は重なるもので、今、私がいる部屋のガラスは、金沢のガラス屋さんのサイトに記されている「サーキット」 探せば他にも出てきそうです。

・京都:ルームマーケット
・金沢:前田ガラス店

ガラスといえば、つい実験器具やケースなどと考えがちですが、灯台もと暗し。日常にも眼を向ければ愉しいことはあるものです。

6
12月

収集・分類・陳列

   Posted by: fumi   in Exhibition, Playmobil

人には得手不得手があります。
それは博物趣味とて、同じこと。その主な要素である収集・分類・陳列に関して、『緋色の研究』でワトソンがホームズに対して行った評価を、自分で自分に対して下してみると、次のようになるでしょう。

・収集
得意。集めるための調査・探究力に長けている。
ネットを介し、世界中どこからでも入手せんとする意志と行動力も有する。

・分類
極度にムラがある。
きっちりと調べ上げ、その保管も専用の箱を用い、またパソコンでデータベース管理しているものがある一方で、集めておきながら何もせず、そのまま放ってあるものも散見される。

また、このムラは実作業のモチベーションにも当てはまる。
やる時は寝食を忘れてやるが、やらない時は全くやらない。
故に、蒐集品をダブって購入したり、逆にひとつだけ欠けるなどのミスを犯す。

・陳列
最も苦手とするところ。
基本、自分だけが眺めるものであり、その見栄えには無頓着になりやすい。加えて、収集したものは自らが愉しむためのもの、対外的に発表することではないという意識も強いため、スキルを磨く向上心も欠落している。

今回は、その最後の話。
最も苦手とする陳列の機会に恵まれました。

東京の台東区と文京区が跨るところ、いわゆる谷根千と言われるエリア。その谷根千の「谷」 谷中にあるカフェ「Couzt Cafe(コーツトカフェ)」にて12/1から始まった「プレイモービルコレクション展」に私物のプレイモービルを展示させてもらっています。

まずは、その模様をお店のブログで。

Couzt Cafe ブログ:プレイモービル コレクション展スタート!

このブログでも何度か触れたプレイモービルですが、改めてご紹介。
プレイモービル(Playmobil)は、1974年、当時の西ドイツで誕生した子供向けのおもちゃ。似たようなレゴが四角のブロックから新たな形を「創造」する遊びであるのに対し、プレイモービルは、ごっこ遊び。具象的なパーツを組み合わせて情景を「想像」する楽しさに長けています。その存在を20世紀後半に知り、2000年代の半ば頃まで夢中になって集めました。それだけでは飽きたらず、ディズニーにディズニーランドがあるように、プレイモービルにも「ファンパーク」というテーマーパークが世界5ヶ所にあり、その中のドイツ・フランス・マルタ、3ヶ所にまで足を運ぶほど。

プレイモービルコレクション展 at Couzt Cafe

今回の展示、メインは未開封のアイテム。「Playmobil Special」と呼ばれる、1994年から1年に12個発売されているシリーズで、その200超の中から80個を壁に並べてみました。普段、段ボール箱に収納していたこともあり、こうやって並べてみると壮観なこと。他には、本国ドイツ以外(アメリカ・イギリス・ギリシャなど)で発売されていたライセンス商品。更におもちゃ本体以外で、キャリングケースやカセットテープ、ゲームボーイソフト、カードゲームなどの周辺商品も並べました。

プレイモービルコレクション展 at Couzt Cafe

しかし、箱だけではプレイモービルの魅力は伝わりません。先に述べた「想像」に遊ぶ楽しさを示すため、実際にふたつのシーンを作成しました。

プレイモービルコレクション展「結婚パーティー」 at Couzt Cafe

ひとつは、結婚パーティー。
新郎新婦と参列者。パーティーを彩るバンドにカメラマンなどを、複数の商品からパーツを選択して作成。新郎新婦の右で侍女が焼く豚の丸焼きは、元々、海賊の商品に入っていたものです。

プレイモービルコレクション展「魔法の森」 at Couzt Cafe

もうひとつは魔法の森。博物趣味としては、こちらがメインと言わざるをえません。
壁が崩れた建物の中にある魔術師の研究室。1階では、森の小人達にレクチャーする老魔術師。2階では、望遠鏡で空を眺める老魔術師の弟子。かぎ鼻の老魔女と蛇の杖を持つ魔女が薬草と骨を煮込む。

プレイモービルコレクション展「魔法の森」 at Couzt Cafe

「陳列」をすると、「分類」と「収集」も動き出します。
陳列のためには遡って分類が必要。この数年、ふたつの大きな箱にただ放り込んでいたプレイモービルを綺麗に洗い、テーマ(警察・海賊・中世・宇宙…)毎に仕切り板を設け、デジタルデータ化したことで処分したCDの収納に使っていたケースに入れました。すると、見えなかったものが見えてきます。ダブって所有しているものが見えるのは良いとして、欠けているものが見えると、その先の行動はひとつ。更に遡っての収集が始まります。ここまで来れば、眠っていた欲望が目を覚ますのは自然の理。欠けているものを探すうちに、これも欲しいあれも欲しいと新たなアイテムが目の前に。

終わったかと思っていた旅が、再び始まってしまったようです。

プレイモービルコレクション展「お菓子の家」 at Couzt Cafe

プレイモービルコレクション展 at Couzt Cafe

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5
11月

三尺下がって、師の影踏まず

   Posted by: fumi   in Wunderkammer

敬愛するブログ「天文古玩」の玉青さんが、拙ブログから2つの記事に触れてくれました。こんなに嬉しいことはありません。

・20121103 天文古玩:休日はデロールへ(附・国書刊行会からの挑戦状)

触れてくれた記事、ひとつは9/13、デロールの店内バーチャルツアーに関する「Visite virtuelle de Deyrolle」 もうひとつは10/11に記した、驚異の棚を模した国書刊行会の小冊子を紐解くエントリー「国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊 その後」です。

・20120913:Visite virtuelle de Deyrolle
・20121011:国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊 その後

玉青さんは、書かれた記事の中で、私の名前を「Tizit 」と記してくださっています。これは、私がユーザーとして参加しているサイト「関心空間」でのみ使っているハンドルネーム。「参加している」と言っても、すっかり御無沙汰してしまっているので、自分でも何故そのユーザー名にしたのか忘れかけていました(笑) そんな健忘症の自分のためにも、ここに由来を書き留めておこうかと。

『2001年宇宙の旅』のHAL9000がIBMを1文字ずらして名付けられたという説(キューブリックは否定したなど、諸説ありますが)と同じ命名ルールによって作られた名前です。ずらした文字数は後ろに3つ。つまり、前に3つ戻ると「Qfwfq」 御存知の方には御存知、イタロ・カルヴィーノの『レ・コスミコミケ』や『柔らかい月』に登場する謎の老人です。「三尺下がって、師の影踏まず」というか、いや、3歩(3文字)後ろの距離で追いかけられるような人では無いのですが、無理を承知で、あんな爺さんになりたいなぁという願望からのことでございます。

師といえば、勝手ながら玉青さんを師と想う気持ちも。
これからも色々、お教え頂きたく。よろしくお願いします。

9/20に記した、驚異の棚を模した国書刊行会の小冊子を紐解くエントリー「国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊」 その表紙に描かれた驚異の棚の同定調査、その後のその後です。

簡単にこれまでの経緯を。
まずは9/20の最初に記したエントリ−。これに対して、敬愛する博物系ブログ「天文古玩」の玉青さんからコメントを頂きました。

・20120920:国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊

そのコメントから新たに出自が判明したオブジェについて記したのが、10/11のエントリー。

・20121011:国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊 その後

このエントリーに対して、かんざきしおんさんから新たに4点のオブジェに対するコメントを頂きました(ブログへの反映が遅れ、失礼しました)

ということで、今回のエントリーは、そのかんざきしおんさんのコメントに対する調査報告から。
調べたところ、残念ながら教えて頂いたものが、国書の小冊子に掲載されているものと全く同じではありませんでした。しかし、そこから検索のヒントを得て、わかったことがあります。

まずは、今回の全ての発端、国書刊行会の小冊子『国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊』の装丁を(画像クリックで拡大します)

国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊

今回、かんざきさんから教えて頂いたなかから、まずは棚番号18の石膏像(鼻・耳・口)
これはおそらく、ミケランジェロ作、かのダビデ像のパーツではないかと。
調べ始めて最初にひっかかったのが、大英博物館が作ったという目・鼻・耳・口の4点。

・Quirao.com: David Nose (by Michel-Angelo) 19 cm by British Museum

David Statue Parts (this image from Quirao.com)

確かに形は似ていると思い、調べを進めたところ、更に大きな画像を見つけ確信を強めました。

・石膏像ドットコム: ダビデ像の鼻
・石膏像ドットコム: ダビデ像の口

ダビデ像の鼻・口(石膏像ドットコムより)

2つめは、棚番号33の貝の化石。
かんざきさんからは「スカシカシパン」と教えて頂きました。私は「タコノマクラ」と思っていました。スカシカシパンは、タコノマクラ目カシパン亜目スカシカシパン科。タコノマクラは、タコノマクラ目タコノマクラ亜目タコノマクラ科。仲間ではありますが、科が違うもの。
ここで今一度、小冊子の画像を眺めると、中央下部に縦長の開口部が。これを頼りに調べたところ「キーホールサンドダラー」ではないかというところまで来ました。ちなみに「サンドダラー」は「スカシカシパン」の英名。ということで、かんざきさんの考えのほうが、より近かったということになります。

しかし残念ながら、小冊子に使われているキーホールサンドダラーの出自の発見までには至りませんでした。

3つめは、棚番号36の昆虫。
かんざきさんから「サカダチコノハナナフシ」と教わりました。教えて頂いたリンクを辿ると確かに。しかし、これまた小冊子との同定までには至りませんでした。

しかし、その過程で見つけた素晴らしいアート作品が。アーティストのJennifer Angusによる標本を題材とした作品の数々。イスラムのタイルを想起させるような、円を中心に幾何学的に配置された虫達(サカダチコノハナナフシも使われています)の美しさ。

・FiberARTS: The Work of Jennifer Angus:A Closer Look

The Work of Jennifer Angus: A Closer Look (this imege from FiberARTS)

Jennifer Angus 自身のサイトもありますので、こちらも。ウィスコンシン大学のデザイン学科の教授だそうです。

Jennifer Angus

最後、4つめも同じく棚番号35の蝶。
「ヒメジャノメ」とコメントを頂きましたが、眼状紋と縦に走る白色帯の位置関係が逆になっているところが気になっています(だからといって、じゃぁ何なのかと特定出来る知識を持ち合わせていないところが情け無いのですが) 更なる調査を続けたいと思います。

ということで、それでもひとつ、石膏像の出自は判明したと言ってもよいでしょう。かんざきしおんさん、ありがとうございます。

9/20に記した、驚異の棚を模した国書刊行会の小冊子を紐解くエントリー「国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊」に、敬愛する博物系ブログ「天文古玩」の玉青さんからコメントを頂きました。

・20120920:国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊

・天文古玩

天文にお詳しい玉青さん、小冊子の棚に納まっている月球儀をご存知で、その出自を教えてくれました。オックスフォード科学史博物館(Museum of the History of Science, Oxford)が所蔵する月球儀。1797年にジョン・ラッセル(John Russell)が製作したものとのこと。

博物館のサイトで検索したところ、まさしくそのものが。

・Selenographia Moon Globe, by John Russell, London, 1797

Selenographia Moon Globe (via Museum of the History of Science, Oxford)

こちらが、国書刊行会の小冊子『国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊』。月球儀は右下、棚番号38(画像クリックで拡大します)

国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊

ちなみに、この月球儀については、玉青さんのサイト「天文古玩」でも2007年に触れられていました。

・20070718 天文古玩:プレ=アポロ時代の月球儀(その2)

寡聞にして、John Russellを知らなかったので、Wikipediaを。画家なのですね。

・Wikipedia: John Russell

こうなると連鎖は続くもので、オックスフォード科学史博物館で「moonscope」と題された展覧会が2007年に開催されていたのも発見。博物趣味だけでなく、月球趣味も満たされる喜び。ジョン・ラッセルと並んで作品が展示された現代の画家、レベッカ・ハインド(Rebecca Hind)の存在も初めて知りました。

・オックスフォード科学史博物館「moonscope」

玉青さん、ありがとうございます。

きっかけは、2つのオブジェ。

Milano - Castello sforzesco - Diavolo-automa di Settala - Foto Giovanni Dall'Orto - 6-1-2007 - 02

"The Chained Slave" - this image from Wikimedia Commons

Ivory Carving - this image from "Cabinets of Curiosities"

先週、国書刊行会40周年を記念して作られた小冊子『私が選ぶ国書刊行会の3冊』を入手。

国書刊行会40周年記念特設サイト

国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊:表紙

作家・学者等、各界著名人61名が、それぞれに愛する国書刊行会の出版物3冊を選び語る小冊子。しかし、表紙を開き本文へと進むその行く手を阻まれ、目が離せなくなってしまったのが、ヴンダーカンマーを想起させる装丁。国書刊行会40周年にふさわしい驚異の棚。

そこで見覚えのあったのが、先に挙げた2つのオブジェ。イタリア・悪魔のオートマタ「The Chained Slave」と、ドイツ・Dresden Collectionの象牙の塔。これらを目にしたのは、 ヴンダーカンマーを扱った書籍の代表的な一冊。Patrick Mauriès『Cabinets of Curiosities』

Patrick Mauriès『Cabinets of Curiosities』

本棚から本書を取り出し確認すると果たして、記憶の通り、2つの図像が見つかりました。こうなると、他のオブジェの出処も調べたくなるのは、博物好きとして必然の流れ。国書刊行会からの愉しい贈り物であり、また厳しい試験でもあるという気持ちで事に臨みます。

国書刊行会40周年記念小冊子 私が選ぶ国書刊行会の3冊:ナンバリング

まずは下準備として、表紙・裏表紙・背表紙をスキャンし、各棚毎にナンバリング。ひとつの棚に複数のオブジェが収まっているところもあります。
ここから実作業。手始めとして当たりをつけたのは、同じ『Cabinets of Curiosities』からの引用の可能性。1ページずつ捲っては小冊子と見比べていったところ、先の2点とあわせて8点。調べる過程で気がついたのですが、その中のひとつである鰐の標本(棚番号16)は、ドイツ・ハレのヴンダーカンマー。2006年12月に現地を訪れた際に撮影した写真を引っ張りだすと、しっかり写っていました(つまり、自分では忘れていたということでもあり…)

20061215 Halle, Germany

『Cabinets of Curiosities』を一冊通して見終わり、さて、次はどうしようかと思いながら小冊子を眺めると、見覚えのある書影(棚番号26)。他のオブジェとの縮尺のバランスの違いで油断したが、これは間違いなくヴォイニッチ手稿。更にもうひとつ。額装された髑髏の絵(棚番号11)は、明らかに歌川国芳「相馬の古内裏」 これら2点が加わり、10点判明。

続いて、この装丁を手がけた人にヒントはないかと、小冊子の奥付を眺めます。その人は山田英春氏。『巨石―イギリス・アイルランドの古代を歩く』の著者として存じ上げていましたが、調べるとバーバラ・M・スタフォード・著 / 高山宏・訳『ボディ・クリティシズム』の装丁も。期せずしての高山さん繋がり。
ブログを拝見すると、目に飛び込んだトップの画像が、まさにこの驚異の棚に収められている壜(棚番号8。但し、これらの壜が何処のものかまでは探すことは出来ず) また、鉱石の断面や、人形の頭部などもブログの画像から見つけることが出来ました。これで13点。

しかし、ここで手詰まり。手持ちのヴンダーカンマー関連書籍を数冊捲ってみましたが、類似するものは見つけられず。こうなると、googleに頼るしかありません。スキャンした表紙・背表紙・裏表紙から、オブジェをひとつひとつ切り出しては、googleのイメージ検索に放り込み。

そうして見つかったのが21点。これまでに見つけていたものと合算すると33点。数え方にもよりますが、装丁の中に陳列されているオブジェの数は約60点。100点満点換算にすると、試験の結果は55点。ギリギリ及第点に達せずの落第。ヴンダカーカンマー定番の鰐の剥製(棚番号2)や、七福神と思しき宝船(棚番号29) 流し目の赤い面(棚番号11)などは判るかなと思っていたのですが… さすがに国書刊行会の壁は高く厚かったです。

とはいえ、この遊びの中で初めて知ったことも多く。オブジェ自体の名称・出自はもちろん、その作者や収蔵されている施設やショップは、今後の好奇心を更に広げるものとなりました。

最後に知り得たオブジェの出処の対応をまとめておきます(数字は棚番号)。もちろん間違いが無いとは言えませんので、発見されましたらお知らせいただきたく。速やかに訂正します。また知りえなかったオブジェについても、インターネットの集合知に頼りたいところ。ご存知の方がいたらお教えくださいませ。

1. 胸像 – Manfreddo Settala “The Chained Slave”
3. ノコギリザメ – Blog: Ragland Hill Social
5. 子供の頭部と歯車:頭部 – 山田さんのブログより、メキシコの画像
5. 子供の頭部と歯車:歯車 – 橋本時計店
6. 水晶:白 – Wikimedia Commons
7. アンモナイト – Wikimedia Commons
8. 薬瓶 – 山田さんのブログのトップ画像
9. 青い鎖のブローチ – Georg Laue
9. 婦人写真 – Sun Frame with Woman
Loud Flowerというバンドのアルバム『Happy Now』のジャケ写にも使われています – Loud Flower『Happy Now』
11. 額装された髑髏の絵 – 歌川国芳「相馬の古内裏」
11. 赤い箱 – Halle Collociton Cabinets of Curiosities 27
11. 馬の頭骨 – Bone Clones
12. 歯車オブジェ – 都筑道夫『幽霊通信』 装丁:山田英春
13. 骸骨 – Paul Reichel “Tödlein-Schrein” 1580 『Cabinets of Curiosities』では1555年と記されている
15. 家族の肖像写真 – The Denver Post
16. 鰐のホルマリン漬 – Halle Colleciton
16. 茸の博物画 – Common Mushrooms of the United States
17. 男性の立像 – Ercole Lelli Flayed Man
20. 見開きの本 – The Book of Accidents
20. 紐綴じ本 – William Hoiles Picture of old books. Basking Ridge Historical Society
21. 眼球望遠鏡 – Corning Museum of Glass: Optical Model of the Eye
22. ガラスケースに入った髑髏 – Nautilus
25. 鉱石断面:大 – 山田英春『たくさんのふしぎ 石の卵』
25. 鉱石断面:小 – 山田さんのサイト「亀甲石」
26. 赤玉枠のレリーフ – Johann Georg Haintz “Cabinet of Curiosities” 1666
26. ヴォイニッチ手稿 – Wkimedia Commons
27. 石版渦 – Lucca Labyrinth
30. タロット – Charles VI (or Gringonneur) Deck; Le tarot dit de Charles VI
31. 象牙の塔 – Dresden Colloction
33. 赤玉の飾り – Johann Georg Haintz “Cabinet of Curiosities” 1666
34. 珊瑚 – Ferdinand II’s cabinet at Schloss Ambras, Innsbruck, Austria
36. 箱 – Michel Mann Box (Nuremberg, around 1600)
41. 裸体 – Nautilus

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13
9月

Visite virtuelle de Deyrolle

   Posted by: fumi   in Wunderkammer

久しぶりにブログを書くことになったきっかけは、やはり、パリのDeyrolle(デロール)

ネットではありがちな偶然の連鎖で、久しぶりに訪れたデロールのサイト(かつてはRSSを登録していたのですが、記事の重複配信が多かったために停止していました) 本来の目的を果たすためにリンク先を探していたところ、眼の端に記事のキャプションとして記された「Visite virtuelle de Deyrolle」の一文が引っかかりました。

これはもしや? と、英訳すると「Virtual tour of Deyrolle」 あぁ、やっぱり… こうなると胸は更に高鳴ります。アレよ来い!! と、クリックしたその先には、待ち望んでいた光景が広がっていました。

Deyrolle: Visite virtuelle de Deyrolle


大きな地図で見る

Googleがストリートビューの技術を使って作った、お店の中を実際に歩くかのように体験出来るサービス「Google Business Photo(日本サービス名:おみせフォト)」に、デロールが対応していたのです。

ページを開いて最初に立つ場所は2階。螺旋階段を上がったところ。その先には真っ直ぐ並ぶ4部屋と、2室目の横にある細長い部屋の計5部屋。実際に訪れた時と同様に行きつ戻りつ、サイトを訪れた本来の目的を忘れて堪能したことは言うまでもありません。ストリートビュー同様に拡大表示も出来ますから、標本の並ぶ棚や書影をじっくり眺めることも。このラックに収められていたポスターを見た、この抽斗を開けた、この棚に入っていた骨格標本を買ったと、記憶の扉が次から次に開いていきます。そういえば、火事で焼けた店内と剥製を撮影した写真集『1000 Degrees Celsius Deyrolle』が置かれた場所も変わっていませんでした。

最初は2階ですが、螺旋階段を下りて1階へ行くことも出来ます。デロールというと剥製が並ぶ2階が有名ですが、園芸を中心とした1階も楽しいですよ。また、そのまま店外へ出て、店舗外観を眺めることも。実際に入店するかのように、再びお店の中へ入って螺旋階段を上がるのも楽し。

そして、こうなると夢想してしまうのは、世界中の博物系ショップ・ギャラリーが、このGoogle Business Photoを採用してくれないかなと。想い出に耽るなら、同じくパリの「Claude Nature」 や、ニューヨークの「The Evolution Store」「Morbid Anatomy Library」 未訪のショップに想いを馳せるなら、メルボルンの「Wunderkammer」やトリノの「Nautilus」 いつか、そのような日が来ることを。

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2月

如月朔日四回目

   Posted by: fumi   in Wunderkammer

今年もこの日が来ました。
パリのデロールが火事で燃えてから四年が経ちました。

・Deyrolle: L’INCENDIE DE 2008

期せずして先月20日、アイスランドのミュージシャン、Jónsiが2010年に行ったライブツアーの記事が、ALARM Pressに掲載されました。

・ALARM Press: 20120120 Jónsi & Fifty Nine Productions: Taxidermy Fire Inspires Darkness-to-Light Aesthetic

彼のステージセットは、火事にあったデロールを収めたMartin d’Orgevalの写真集「Touched by Fire」の影響を受けて作られたもの。2010年3月に知って、このブログに記しました。

・Imaginary Beings: 20100307 Jónsi meets Deyrolle

当時は、どういった経緯でJónsiがデロールを知ったかまでは突き止められませんでしたが、ALARMの記事を読んでわかりました。

D’Orgeval published his photos in a book called Touché par le Feu (Touched by Fire), which was purchased as a Christmas present the following year for one Leo Warner, the director of a group called Fifty Nine Productions, which was rapidly altering the landscape of theatre and opera with its video and set-design work. Now the company was working on a new type of project — a music tour.

ステージデザインを行った59 Productionsのディレクター、Leo Warnerがクリスマスプレゼントとして購入したものだったのです。

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20110311 / 20120101

あけましておめでとうございます。

Twitterに慣れるとブログの更新が滞るというよくある話でして、昨年はわずか6本を書いたのみ。

その反動か、今年は長い文章を書きたいし、書かねばと。もちろん、興味を惹かれる話題がなければ書くことは出来ないですし、毎日のように話題が出てくる分野でもなく。それでも探すという行為に自覚的になることで変わることもあるだろうと。

本日午後、鳥島沖で発生した地震により、棚に並んでいたオウム貝(断面を見せるためにカットされたもの)が床に落下、終端部が欠けてしまいました。

蒐集と地震の関係は、昨年3月11日に本の下敷きになったデロールの骨格標本模型で体感していたはず。ミュージアムジェルでの固定はしていたのですが、自然の力の前では人間の小手先の対策など無力なもの。

とはいえ、先の骨格標本模型がそうであるように、その傷を愛でる感情の芽生えを否定出来ません。あれは保険会社だったかコンサル会社だったか、昨年の春頃、金継ぎの器を大写しにした広告を目にしました。その暗喩は言うまでありませんが、確かに壊れたものを再生させることで生まれる新たな価値が金継ぎにはあります。

さすがに骨格標本模型では無理ですが、このオウム貝なら金継ぎも出来るのでは。その過程をここで記すことで、今年のブログ更新の頻度も上がるのかもしれません。

11
11月

沈まぬ新月

   Posted by: fumi   in 日記

満月の日に、ムーンライダーズの無期限活動休止発表。

地平線の下に沈んで見えなくなるのではなく、見えないけれど空に浮かび続けている。

毎日が沈まぬ新月になるだけのこと。
何処にいるかと、これからも空を見上げ続けることでしょう。

http://moonriders.net/notice/

 

20111111_moonriders