15
6月

やっぱり赤

パリ旅行最中の去る6/7。

お昼休み中のDeyrolleから昼食を取ろうと歩いてAu Babyloneに向かう道すがら、前方で信号待ちをしている地元紳士(エルトン・ジョン似)が小脇に抱える赤い物体に目が止まる。遠目にも明らかにiPadとそれを収めたケースとわかり、またケースは革素材であることも見て取れる。奇しくもアップル純正のiPadケースを購入したものの納得出来ず、かといってその他の選択肢もないところ。

辛抱たまらず、信号が青に変わり歩き始めた紳士を後ろから呼び止める。すると、これが饒舌なまでに口なめらか。聞いてもいないのに、フランスでiPadを買おうと思っても7月まで無理だとか、俺のは最上位機種の「64GB 3G」だけどお前のは何だとか、もう仕事に無くてはならないツールだとか(ちなみに映像関連の会社経営者だそうで、どういうわけか名刺交換までしてしまう)。面白いのですが、ケースが気になってるんです…

曰く「Chinini」というフランスのメーカーのもので、サンジェルマンのショップで購入したとのこと。

Chinini

その場でネット環境が無かったので宿に帰ってから調べると(今、思えばこの紳士、3Gモデルを使っているんだから、それで見せてもらえば良かったんだよな)、Chininiのなかでも「i MAMBA」という製品。またサンジェルマンのショップもFNACと判明。

・Chinini: i MAMBA

翌日、FNACに赴き購入。定価€54.90のところ、€49.90で。

Chinini: i MAMBA: プラケース入り

Chinini: i MAMBA: 全景

Chinini: i MAMBA: ロゴ

Chinini: i MAMBA: 内側はフェルト生地

Chinini: i MAMBA: iPad装着。左面の折り目で曲げると傾斜もつきます

うん、満足。
何よりもこの色。赤の中でも少し明度の低い赤。また、MAMBA(アフリカ南部に生息する毒蛇の意)の名のとおりに施された蛇柄も、この色にあっています。

肝心の使い勝手も必要にして十分。
適度に滑らかな表面がホールディングの感触を良いものにしていますし、また鞄に入れる際にスルリと収まるのも気持ち良し。アップル純正は滑りにくい素材を採用しているので、引っ掛かりがあったんですよね。

また撮り忘れましたが、最後の画像の左面にある折り目から曲げると、アップル純正のiPad caseのように傾斜つきのスタンドにもなります。

偶然の出会いから得た満足の一品。

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1
6月

ページを破いてポケットに

さて、前日の続き。

2年前に始めたScanSnapを利用しての紙モノ整理。
現在、そうして生成されたpdfの容量は70GBを超え、ファイル数も2,000を優に上回るものとなっています。

こうなると必要となるのが、Mac上での管理。全てのpdfファイルにはOCRをかけていますので、その内容検索を用いて情報を有効に活用したいもの。

そこで利用しているのがIronic Softwareのpdf管理ソフト「Yep」

Ironic Software:Yep

基本的な使い方は、今でも使用当初に記したエントリー「本の内外」のまま。

tomblin:20080417:本の内外

上記エントリーにも記していますが、このソフトを使う理由はタグを用いたファイル管理ScanSnapで取り込む際に適切なタグを入力し、それを頼りに求める情報に辿り着きます。もちろん、OCRをかけたpdfですから全文検索も可能(OCRの精度は置いといて)。そこからこれは重要な内容と判断した時にはタグを付加していきます。

更にこのYep、i文庫HDにファイルを転送する際にも非常に役立ちます。部屋の本棚を眺めて、こう思ったことはないでしょうか?

「ここに並ぶ全ての本から一括で単語検索して、必要なページを取り出せたら便利だよなぁ」

i文庫HDの現バージョン(1.02)では、pdfファイルに対して検索機能が適用されません(青空文庫では単語長押しで可能)。ページに対してのブックマーク機能はありますが、それも個々のpdfファイルについて。例えば転送した複数の雑誌のpdfファイルで同じ人物名が登場するところにブックマークをつけても、それぞれのファイルを開く必要がありますし、そもそもそのブックマークをつけた箇所を覚えておかないといけません。

しかし、Yepとi文庫HDを組み合わせることでこれが実現出来ます。

具体的な例をひとつ。
近々パリへ行くのですが、そのために彼の地の情報をスキャンして作成したpdfの中から抽出してi文庫HDに転送し、旅先で活用したいと考えました。

まずは「Paris」というタグが付けられたファイルを調べます。そこから更に別のタグ(「Bookstore」だったり「Museum」だったり)を辿り、これと思うものがありそうなファイルを見つけます。

Yepでタグ検索

Mac OS Xのアプリ「プレビュー」で開いてファイル内で「パリ」と語句検索。そこで表示されたページからお目当てのものが見つかれば、メニューから「選択したページをプリント」を選び、pdf保存。それをi文庫HDに転送します。i文庫HDの中では専用の棚を作成し、そこに転送したファイルを全て登録すれば、他のファイルと混ざらずに閲覧出来るので便利です。

i文庫HD:抽出した雑誌ページの棚

喩えるならば、雑誌の気になったページをビリッと破いてジャケットのポケットに入れて持ち歩くようなものでしょうか。タグで見つからなければ全文検索で探せばいいですし(お目当てを見つけるまで時間はかかりますが)、そこで見つかったものを新たにタグ付けしておけば後々にも役立ちます。

31
5月

紙離れの文字:i文庫HD

iPadを入手して1ヶ月半。日本でも発売されたということで、そろそろ使い方についてまとめておこうかと。

Twitterでは度々つぶやいておりますが、iPadに求める最大の役目はpdfリーダー。ScanSnapで取り込んだ全ての紙データを持ち歩き、且つ快適に閲覧する。持ち歩くということでは、かつてiPodに所有する全てのCDを入れていたようなもの。快適な閲覧ということでは、iPhoneの画面サイズでは得られない体験を。

・tomblin:本の内外

・tomblin:iPad

そのために必須のアプリが「i文庫HD」。青空文庫リーダーや、テキストファイルの読み込みなどの機能もありますが、それらはひとまず後回し。pdf

最近話題の電子書籍の側面から言えば、やはり雑誌。ページの見開きはもちろん、左右開きの選択にも対応。またpdfの任意のページを表紙の画像に設定することも可能(デフォルトでは1ページが自動で設定されます)ですので視認性も抜群。

i文庫HD:雑誌棚

また個人的にオススメしたいのは、各種フライヤー・チラシの類い。展覧会や映画、更に私の場合は落語会と、至る所で手にするそれらをクリアファイルに入れて保存しておくものの、現実的にはそう滅多に見返すものではなく。だったら、まとめてスキャンして保存しておいたほうが閲覧性・検索性が上がって便利。

i文庫:チラシ棚(展覧会)

またこれらの多くはペラ一枚。雑誌のように裁断することもないので、作業の敷居も低く、捨てるに忍びない場合もそのまま保管しておけます。正直なところ、iPadに入れて持ち歩く類いのものかと言われると疑問符がつきますが、それは人それぞれに使い方があるということで。

しかし、こうスキャンしたpdfファイルが増えてくると必要になるのが、Mac上での管理。更にi文庫HD、またiBooksでも提供されていないデジタルデータならではの使い方。

ということで、おそらく明日に続きます。

20
5月

一箱古本市の箱、再び

呟き続けるTwitterの陰に隠れ、こちらはあいも変わらず静かなもので。活動は事前の予告と当日の実行のみにあらず。いや、それどころではなくて、むしろ終了後の報告が最も大事なのに。

5/2の一箱古本市では、望外なことに豊崎由美さんから個人賞を頂きました。これもひとえにハコバカさん製作の「一箱古本市の箱(仮)」のおかげ。

訪れていただいたお客さんからも、箱に関するご意見を多く頂きました。ありがとうございます。ブログやYouTubeで知って、わざわざ見に来てくれた方が多かったことも嬉しかったです。なかには購入したいと言ってくれる方もいまして更に嬉しく。上手く一箱古本市そのものの活動に還元していくような仕組みを作れればと考えています。

その第一歩が箱の改良。現在、ハコバカさんにお願いしています。最大の変更点は外箱の強度。そのまま発送する際、また内箱を乗せた際により耐久性を増すことが目標です。このまま行けば、来月にはver1.0の正式版となる予定。最初に使うのは、やはりあの方?。テープカットでもしてもらいましょうか(笑)。

今週末のイベントの告知も。
今回、豊崎由美賞を頂いたことにより、22・23日の2日間、谷中・千駄木のよみせ通りで開催されるイベント「わくわく大感謝祭」に一箱古本市の出店者として参加することとなりました。他の受賞店主さんはもちろん、不忍ブックストリートに関わるお店やスタッフの出店もあります。

・しのばずくん便り:谷中よみせ通り「わくわく大感謝祭」に一箱古本市も参加!

今回はテーマ縛りなど奇をてらうことなく、ゆったりとした気持ちで参加の予定。「一箱古本市の箱(仮)」も再登場しますので、実物を見たいという方は是非。個人的には、先の一箱古本市で拝見できなかった「とり、本屋さんをする」さんの自作木箱を拝見するのが楽しみ。

・とり、本屋さんにゆく:よみせに、とり本屋

しかし、もしかしたら本を売ってる場合ではないかもしれません。よみせ通りの酒屋「のだや」さんがこのイベント期間中、店頭にて立ち飲みワインバーをオープン。

・愛酒楽酔:5月22・23日店頭にて立ち飲みワインバー限定OPEN!!

古本市会場からのだやさんはすぐ近く。更に悪い(本当は良い)ことには、反対方向に歩くとすぐにあのコシヅカハムも。右手にローストビーフ、左手にワインを持つ姿が早くも目に浮かびます。こうなったらもう、みんな飲んじゃえばいいんじゃない?

2
5月

箱だらけ

やっぱり、ギリギリにならないとやらない性格…

いよいよ本日、一箱古本市出店です。
「トンブリン」の屋号にて、Gallery Jin + classicoにおります。モデルルートが公開されていますので、そちらをご参照ください。

一箱古本市:5月2日の踏破コース

今回の一箱古本市のために専用の箱を作った(その顛末は下記リンクをどうぞ)からには、そこに並べる本も何か工夫が必要だろうと考えた結果が、どこまでいっても箱だらけ。

・tomblin: POWERED by HAKOBAKA vol.1
・tomblin: POWERED by HAKOBAKA vol.2
・YouTube: 一箱古本市の箱

出品本は以下のようになりました。
箱そのものの文化史を語るものから、箱を題材とした小説・漫画まで。半分はダブって持っているものかな。その容易さ故に書名に「箱」と入ったものが多い点(特に小説)が、まだ見ぬその他の本を探し切れていない弱点となっていますが、それでもこれだけ集まるから面白いですね。箱好きっていないようでいるってことが分かっただけでも満足。

箱という劇場 横山正
箱 – 工芸文化史の断層 郷家忠臣
五つの箱の物語 今市子
箪笥のなか 長野まゆみ
モンキービジネス「箱」特集 責任編集:柴田元幸
魍魎の匣 京極夏彦
びっくり箱殺人事件 横溝正史
北村薫のミステリびっくり箱 北村薫
箱男 安部公房
箱ちがい Robert Louis Stevenson / Lloyd Osbourne
箱の中の書類 Dorothy L. Sayers
箱の女 G.K. Wuori
箱少年 七戸優
スコープ少年の不思議な旅 巖谷 國士 / 桑原 弘明
ハコイヌ もっとそばに 佐藤英明
シャーロック・ホームズの回想 新訳シャーロック・ホームズ全集
美術手帖1978年4月号 特集:沈黙と饒舌の構図 ジャッドの箱とコーネルの箱
皇室のボンボニエール  扇子忠
Structural Package Designs Haresh Pathak
Po Shun Leong: Art Boxes Tony Lydgate
箱の家に住みたい 難波和彦
驚異の発明家の形見函   Allen Kurzweil
Playing the Orhestra 坂本龍一

また、箱の本だけではなく、本当の箱も幾つか。その中には今回、この一箱古本市の箱を作ってくれたハコバカさん製作のマトリョーシカ箱も。入れ子で且つ小さきもの。大好物です(笑)。

他には上記画像で黒く写る木箱も、なかなかのもの。医者の往診用薬箱。これもまさに「一箱の宇宙」。ギミックがたまんないです。正直、価格設定は強気なのですが、こんな箱もあるんだという話のタネにでも是非ご覧いただければ。

では、あと3時間弱。
皆さんのお越しをお待ちしております。

27
4月

POWERED by HAKOBAKA vol.2

前回(下記リンク)に続きまして、一箱古本市のための箱をお披露目。今回は具体的な仕様をお伝えいたします。

POWERED by HAKOBAKA vol.1

今回、幸運だったのは、最初にこちらの意図をハコバカさんに伝えたところ、似たような箱を既に作られていたこと。そこにこちらのリクエストを加えていきつつ、構造的な問題を解消してもらい完成に至りました。

見ての通りですが、基本は箱を上下で二分割。上段に大型本、下段に小型本を収納します。下段は引き出しになっていますが、一箱古本市のルール上、そのまま引き出すと出張ってしまうのでちょっと問題。そこで一度引き出した後に90度回転、箱の中に再び収めるようにしました(実は、これが上面の荷重を支える役目にもなっています)。下段の高さは文庫サイズ。もちろんCDも大丈夫です。開いた上面のベロになっている部分には、屋号などポップを貼れば目立ちますね。

一箱古本市のための箱という意味では、次が最大の売りかもしれません。こちらからの必須のお願いとして、店主側に引き出しを作りました。売れた本から抜いたスリップや、お客さんに本を渡す際に使うビニール袋、会計に使用する財布やミニ金庫など、店主経験のある方ならお分かりと思いますが、何かとかさばる持ち物の数々。それらをまとめてここに収納することが出来ます。

以上、内箱についての説明でした。
はい、実はこれ、内箱なんです。もうひとつ、この箱を覆う外箱が存在します。

その理由は可搬性のため。むき出しのままの引き出しは、さすがに会場まで持参する際に注意を払う必要があります。

もうひとつ考えたのは、ドンベーブックスさんやモンガ堂さんのような、全国の一箱古本市を行脚する方々の姿。これをそのまま目的地まで発送してもらえば、あとは体ひとつで向かうだけ。喩えるなら、手ぶらの寅さんとでも言いましょうか(笑)。日本全国の一箱古本市にこの箱が並ぶ姿を妄想しております。ちなみに箱のサイズは、ゆうパックや宅急便でいうところの120サイズに収まるように作りました。

更に、この外箱があることで副次的な効果も生まれました。内箱を地面にそのまま置きますと、お客さんも立ったままでは見づらいことに。特に下段は棚で奥まっていますから、しゃがむことが前提となります。ここで外箱の登場、テーブルの役目を果たしてもらいます。その上に内箱を載せればお客さんも立ったままでの品定めが可能です。テーブルクロスのようなものをかけて外箱を覆えば、見栄えも良くなりますね。

しかし、ここで心配になったのは外箱の耐荷重性。空の箱で数十冊の本の重さを支えられるのか?。その旨をハコバカさんに伝えたところ、素晴らしいアイデアで応えてくれました。まずは上からかぶせる蓋の採用。一般的な段ボール箱のように左右から閉じるのではなく、上からすっぽりかぶせることで側面の強度も生かされています。更に驚いたのは筋交い板。外箱と内箱の間に収納された2枚の板を斜めに置くことで更に強度を得られるようになっています。

と、ここまで来て、ふと考えました。不忍ブックストリートから始まり、今では全国に広まった一箱古本市。ならば、自分も一人でこれみよがしに使うのではなく、複数の方に利用してもらったほうが良いのではと。そこから使い勝手の意見も集まり、更なる改良点も見つかるかもしれません。前回に続いて再びモータースポーツに喩えるならば、車体の複数供給です。エンジンである本はそれぞれの店主さんが用意、車体である箱も個々に改良やカラーリングを施してもらえれば。

とは言え、何分初めてのことでもあるので、まずはこれまでの一箱古本市で親しくさせていただくようになった方々に声をかけました。結果、4/29と5/2のそれぞれで2店ずつ、計4店が使用します。どんなものか実物を見てみたいという方は、是非とも下記の会場で店主さんに話しかけてみてください。

・4/29
 ・市田邸:芸工展実行委員会
 ・旧安田楠雄邸:マステルとマルガリータ 

・5/2
 ・アートスペースゲント:たけうま書房
 ・Gallery Jin+classico:トンブリン

最後に箱が開く動画を。下段が90度回転するところが分かると思います。

27
4月

POWERED by HAKOBAKA vol.1

その昔、モータースポーツに夢中でした。

そもそものきっかけは70年代後半にまで遡りますが、決定的だったのはやはり80年代半ばからの第二期ホンダ。エンジンサプライヤーとしての輝かしい戦績と共に、コンストラクターであるウィリアムズやマクラーレンのボディに描かれた”POWERED by HONDA”のロゴが眩しかったものです。

翻って2010年、一箱古本市。

一箱古本市におけるエンジン、それはやはり箱の中に並べられる本。他方ボディは、外側を覆う意味からも本を並べる箱。本は店主として参加する私自身が用意するもの。つまり、エンジンサプライヤー。では、ボディは?。これまでは既製のトランクや木箱を自らが用意し使ってきましたが、その工夫にもややマンネリを感じ始めたここ2年ばかり。そこに掲げられた今年の一箱古本市のテーマ「一箱の宇宙で遊ぼう!」。原点回帰、一箱という空間の中で楽しむ創意工夫。これは暖めていた企画を実行する時だと思いました。

それは、一箱古本市専用箱の製作。まさにF1のエンジンサプライヤーとコンストラクターの関係がここに実現しました。

設計・製作をしてくれたのは京都のハコバカさん。「箱の構造設計のための企画展示室」を標榜し、河原町今出川でギャラリーを運営されています。

・ハコバカ
 ・web – http://www.hakobaka.org/
 ・Twitter – http://twitter.com/hakobaka/

初めてお邪魔したのは、確か2008年12月。一介の箱好きとして、それは興奮したものです。その時、既に一箱古本市の話はしたと記憶していますが、箱製作については初対面の気恥ずかしさもあり、まだ胸に閉まっていたはず。それが今、シェイクダウンを迎えて目の前にある幸せ。当時を忘れてニヤニヤしちゃいます。

一箱古本市に特化した箱とは何なのか。
その仕組みについては、新たな画像と共に改めましてご紹介します。

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26
4月

谷中カフェ(油揚げ)の里帰り

いよいよ開催が迫る第10回 一箱古本市。
その企画のひとつとして「谷中カフェ(油揚げ)の里帰り」が開催されます。

「谷中カフェ(油揚げ)の里帰り」

昨年4月、穴守稲荷にて「油揚げ」の名で再始動した三崎坂の「谷中カフェ」が谷根千に里帰り。懐かしい味に触れてください。個人宅でのおもてなしですので、会場はウェブ参照、または当日のお問い合わせをお願いします。

日時:4/29 11:00~16:00

場所:文京区根津二丁目

・油揚げ
http://aburaage.web.fc2.com/

「谷中カフェ」は2002年から約7年、谷中・三崎坂で営業していた玄米菜食のお店。肉や魚、卵や乳製品などの動物性の食材は使用せず、野菜を皮まで全て調理して命まるごといただく健康食を提供していました。

その考えは「油揚げ」となってからも変わらず、また玄米菜食という響きからはちょっと意外と思えるくらいに、お腹がしっかりと満足する食事をいただけます。

当日の予定メニューは、搬入のこともありまして食事はカレー(20食程)の提供となります。ただ余裕があれば、お店の名前にちなんだ持ち帰り用の何かが加わるかもしれません。他にはクッキーなどのデザートメニュー、そしてコーヒーとなります。

場所ですが、先のご案内にもありますように個人宅(和室八畳間)となります。当初はお昼に営業していないお店を借りようかと考えたものの、店主ゆりさんの「谷根千ぽくっていいよっ!」の一言でこういうことになりました。尚、住宅密集地のため、お喋りの音量には少しだけご配慮いただけますと幸いです。

居酒屋「すみれ」の裏っ手、目印は玄関先に立つ身長120cmのPlaymobil。緑の帽子をかぶった文字通りの看板娘がお出迎えいたします。

当日のご連絡は下記のいずれかでお願いします。
tel: 080-3604-5436
email: lunatixorama☆gmail.com(☆ を@に変えてください)
Twitter: _tomblin_

ゆりさんを知る谷根千在住のお友達や常連の方々が旧交を温める場、そして一箱古本市に訪れる皆さんの休憩の場となればと思います。皆さんのお越しをお待ちしております。

8
4月

Book Songs

昨夜4/7、千駄木のブーザンゴにて不忍ブックストリートの茶話会が開かれました。

・「不忍ブックストリート:2010年4月の茶話会

普段は選ばれた一人が好きなテーマで30分間話をするのですが、今回は特別企画開催。その名も「本の出てくる曲」。参加者それぞれが古今東西、本の出てくる曲を持ち寄り、それを披露するというもの。今回の参加DJは12人。時も場所も色々、それは幅広いジャンルの曲が集まりました。

Twitterでもその進行を実況しましたが(ハッシュタグ #booksongs で探してください)、ここに映像や歌詞のリンクも含め、まとめておきたいと思います。


01. 岡田奈々 “青春の坂道”

・選曲:吉上さん
・歌詞:goo

作詞:松本隆、作曲:森田公一。君に逢いたくて行く古本屋。


02. Sheryl Crow “The Book”

・選曲:桐谷さん(Twitter
・歌詞:metrolyrics

ある本を読んだら、そこに登場する女性に見覚えが。実は自分のことが書かれていたという。

http://www.youtube.com/watch?v=l3FWL9nmS7M


03. The Beatles “Paperback Writer”

・選曲:恭太さん(Twitter
・歌詞:metrolyrics

自著を売り込むライターのお話。
映像は日本公演のものがあったので、そちらをリンク。


04. Caetano Veloso “Livros”

・選曲:たけうま書房さん(Twitter
・歌詞:LyricsMode

どこか高山宏を想起させる壮大な歌詞。家には本が無く、町には本屋も無く。しかし書物は宇宙の膨張と超常的な意味をなす。というような。さすがにポルトガル語の歌詞では分からず…。ちゃんとした日本語詞が欲しい。

YouTubeの映像はオフィシャルのPVでいいのかな?。舞台の図書館に見覚えがあると思ったら、これはリオ・デ・ジャネイロの幻想図書館「Real Gabinete Português de Leitura」!!。さすがご当地!。こういう偶然があるから楽しい。

・「Real Gabinete Português de Leitura


05. HEATWAVE “雨の後、路は輝く”

・選曲:古書ほうろう 宮地さん(Twitter
・歌詞:HEATWAVE WEBSITE

本が出てくることを理由に、このアーティストを皆さんに紹介したいとのこと。知ることが出来て良かった。
映像は矢井田瞳との共演。

http://www.youtube.com/watch?v=Sq16q7NL5g8


06. 二階堂和美 “話しかけたかった”

・選曲:カリプソ文庫さん(Twitter
・歌詞:goo

南野陽子のカバー。本屋の前で雨やどり。歌詞リンクは南野陽子のほうで。


07. The Kinks “Picture Book”

・選曲:板谷さん
・歌詞:metrolyrics

Kinksもちゃんと聴いたことのなかった音楽。皆さん、本当に選曲が重ならない。


08. 荒井由実 “緑の町に舞い降りて”

・選曲:及川さん
・歌詞:goo

地元への熱い想い感じる選曲。花巻空港と銀河の童話。

http://www.youtube.com/watch?v=sjdy1QRlw6k


09. HARCO “スクラップブック”

選曲:さんごさん

良い曲だったのに、映像・歌詞共に見つからず。教えて欲しい。


10. 埋火 “と、おもった”

・選曲:ナンダロウさん(Twitter
・歌詞:見つかりませんでした

歌い出しに「装丁のきれいな本」。皆さん、他に「装丁」という言葉が使われた曲が思い浮かばず、耳で聞く「装丁」の語感に感じ入っていた様子。


11. 図書館 “図書礼讃”

・選曲:トンブリン:タケミツ(Twitter

「本」という言葉は出てこないけれど、そこは確かに図書館。そのイメージの想起が素晴らしくて選曲。映像・歌詞共に見つからなかったので、アーティストサイトとMySpaceをリンクします。

・アーティストサイト:図書館
・MySpace:図書館


12. 細野晴臣 “星めぐりの歌”

・選曲:永山マキさん(Twitter

宮沢賢治の一曲。今回は『銀河鉄道の夜』サントラから。


間髪入れず、2巡目に入りました。

13. あべ静江 “コーヒーショップで”

・選曲:吉上さん
・歌詞:goo

作詞:阿久悠。本を読んで涙する。


14. Elvis Costero “Everyday I Write the Book”

・選曲:桐谷さん(Twitter
・歌詞:metrolyrics

1曲目に選ばれたシェリル・クロウは本に書かれた側、今回は書いた側の曲。


15. 有隣堂 “テレビCM”

・選曲:恭太さん(Twitter

今回の最注目曲。
30年前、テレビ神奈川で流れていた有隣堂のCMソング。作詞作曲はおそらく小坂忠ではないかという推測。音源が見つからず、ギター弾き語りの生演奏。


16. Jim White “Book of Angels”

・選曲:たけうま書房さん(Twitter
・歌詞:HotLyrics

David Byrneのレーベルアーティスト。聴いたことのないものが多すぎる。


Jim White – Book Of Angels


17. Squeeze “Love Circles”

・選曲:古書ほうろう 宮地さん(Twitter
・歌詞:metrolyrics

愛の移り変わりのひとつとして登場する本。

http://www.youtube.com/watch?v=3mKDV5ekCSQ


18. かせきさいだぁ≡ “じゃ 夏なんで”

・選曲:カリプソ文庫さん(Twitter
・歌詞:見つかりませんでした

梶井基次郎や宮沢賢治の一節が散りばめられた詞。はっぴいえんど “夏なんです”へのアンサーソングでもあるそうです。


19. Simon & Garfunkel “Bookends Theme”

・選曲:板谷さん
・歌詞:metrolyrics
・映像:YouTube

静かな小品といった趣き。映像は埋込不可だったのでリンクを。


20. Marta Gómez “Paula ausente”

・選曲:ブーザンゴさん
・歌詞:martagomez.com

ここでブーザンゴさんも参加。Isabel Allendeの著作『PAULA』という本にインスピレーションを得た曲。


21. Talking Heads “The Book I Read”

・選曲:ナンダロウさん(Twitter
・歌詞:metrolyrics

Jim WhiteからDavid Byrneへ。僕が読んだ本が君の眼の中に。


22. Nick Cave and the Bad Seeds “There She Goes, My Beautiful World”

・選曲:トンブリン:タケミツ(Twitter
・歌詞:metrolyrics

John Wilmot / Nabokov / Johnny Thunders / Karl Marx / Philip Larking / Dylan Thomas。登場する作家・詩人の多さから選曲。

http://www.youtube.com/watch?v=d1fzqtTV2EE


以上、約2時間で全22曲。
並べてみると、改めてその選曲の幅広さに驚きます。一方で時に「その曲にしようかとも思った」という声が上がったりするのもまた楽し。皆さん、考えて臨んでます。

参加人数と時間の関係にもよりますが、2曲までという選曲ルールも面白かったです。1曲だけでは分からない選ぶ人の個性と言いますか。特に吉上さんの岡田奈々・あべ静江、桐谷さんの本に書かれた側と書いた側は、選ぶテーマがしっかり見えるようで楽しく聴かせてもらいました。

そして何といっても恭太さんの弾き語り。オリジナル音源も聴きたいし、また本当に小坂忠なのか知りたくもあり。更に日本各地の書店CMソングを探してみたくもなりました。ちょっと検索したら、島根の万代書店が。

皆さん、まだ出しきれていないようでもあるので、もしかたら第2回の開催もあり得るかも。今から新しい曲を探しておきます。

11
3月

the intersection of technology and liberal arts

iPad発表イベントの最後にジョブズが語った言葉が話題になっている。下記ムービーの1時間31分30秒頃からのわずか1分弱のこと。

Apple Keynotes: Apple Announces iPad

最も注目されているのは最初に語られる下記の言葉。

「アップルがiPadのような製品を作ることの出来る理由は、常に我々がテクノロジーとリベラル・アーツの交差するところに立とうと考えているからだ」

水を打ったように静まりかえった会場の雰囲気。聴衆だけでなく自らにも語りかけているように見えるジョブズの姿。あたかも時が止まった世界に言葉だけが響くようなその光景に眼が潤む。

そのまま聴き進むと他のところも興味深い。そこで他力本願、誰かネットにアップしていないかと探してみたところ全文掲載は無く、また自分の耳に聞こえるものとは異なる記述もあったりではっきりしない。それならばと自ら起こしてみた(もちろん、これもはっきりしないものなので参考までに)。

“The reason Apple is able to create products like the iPad is because we’ve always tried to be at the intersection of technology and liberal arts.

To be able to get the best of both, to make extremely advanced products from a technology point of view that also have them be intuitive, easily use, fun to use, so that they really fit to the users, The users don’t have to come to them, they come to the users.

It’s the combination of these two things that I think has let us make the kind of creative product like the iPad.”

更にもうひとつ。ムービーのラスト、”You never wanna go back”も響きます。

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トップの画像は、外村仁さん(Twitter ID: @hokayan)がflickrにアップしてくれている画像を使用させていただきました。

・twitter: @hokayan
・flickr: Hokayan’s photostream