瓢箪から駒が出て山上ヶ岳登山。
修験道の山,恐ろしい行場のある山,女人禁制の山…。情報としては知っていたものの,まさか自分が登ることになるとは思わなんだ。山道自体は整備されているのでつらさはほとんど感じず,「お亀石」(「石の上にも三年」の石),「鐘掛岩」までをクリア。
しかし噂に名高い「西の覗」はさすがに…。両肩からかけた命綱だけを頼りに高さ200mを超える断崖絶壁に頭から身を乗り出す行。何が恐ろしいって,その命綱を任せるここに常駐する真樹日佐夫に似た男の色気漂う介錯人。どうすれば行者の肝を縮み上がらせることができるかは心得ているわけで,これがいい塩梅に綱を緩めてくれるのよ。その度にビビって岩にしがみつくと「放せ。両手はあわせとくんだ。」と檄が飛ぶ。この怖さ,やっぱり自らが体験してナンボですわ。
Archive for the ‘2004 Jul. : Kansai’ Category
恕の心
帰京日。
まずは黒滝村(ここで見かけた「森のこもれびホール」という名の怪しい木造建築。このフォルム,どう見ても渡辺豊和(帰宅後確認))から吉野に抜けて金峯山寺蔵王堂。世界遺産登録奉賛で特別御開張中の蔵王権現三体と内陣「発露(ほつろ)の間」にて対坐。
その後,吉野から特急一本で阿部野橋に出て「鯛よし百番」に行こうと思ったものの,事前予約が必要とのことで断念。橿原神宮を経て京都へ向かう。あちぃ,なんだよこの暑さ。街中がエアコンの室外機の横に立っているような暑さ。下から熱風が吹き上げてる。京都の夏は初めてだけど,これがデフォなんでしょうか?。やっぱり嫌いさ京都。
でも和解できるところは和解するくらいには大人になれたつもり。目指すは縄手通り。まずは昼飯に「ぎをん梅の井」で鰻丼。ふわふわでウマー。赤だしも肝煮も冷酒も素敵。無我夢中で頬張っていると,和服姿の白髪女性が来店。常連さんらしく店の人と時候の挨拶。そこで聞こえてきたのが「えげつない暑さですなぁ」。暑さに対して「えげつない」という言葉を使うのかとハッとして,その正確なニュアンスを確認すべく携行していた電子辞書を開くと…。
・人情味や同情心にかけている。「-・い利己的な男」
・あくどい。露骨でいやらしい。「-・い商法」「-・い野次をとばす」
(広辞苑)
なんと的を射た…。
食後,近くの旅館や川魚問屋を巡った後,八坂神社へ。しかしあまりの暑さに耐えられず神社奥の円山公園内にある「長楽館」で茶。明治のたばこ王が建てた別荘をそのまま利用しているそうで,それはもう絢爛豪華。
休んだって暑いもんは暑い。もう辛抱たまらんとタクシーで京都駅に直行し,即のぞみに乗車。2時間20分後(初めて乗ったんだけど,こんなに早いもんなのね),東京駅に着いたらキオスクに並ぶ夕刊に「東京 39.5℃」の文字。京都以上じゃねぇかよ…。
帰宅すると家の中が言うまでもなく…(壁まで熱い)。エアコンを設定出来る最低温度でフル稼働。更にSigur Rós『Svefn-g-englar』をパワープレイ(これだけで体感温度が3℃は下がる)。
omni Sight Seeing
細野さんとBrian EnoをiPodに詰め込んで西へ。目指すは吉野の山奥。
夜行の高速バスで近鉄奈良。そこから大和西大寺・橿原神宮・下市口と電車を乗り継ぎ,最後は路線バスに乗ってようやく到着。しかし遠い,遠いよ。誰か,大阪あたりからヘリの路線を作って(実際,サブちゃんがここを訪れた際はヘリに乗ってやってきたらしい。さすが…)。
5年か6年ぶりに訪れたこの地,世界遺産に登録されたからか当時と比べるとどことなく開けた印象。観光客はやたらいるし(自分もそうだってな),携帯も繋がるし,当時強く感じた秘境感は薄まったような。でも,だからなんだってこともないんでとにかくゆっくりする。大辨財天さんを参詣して,温泉入って,細野さんのサイン色紙を眺めて,酒飲んで飯食って…。あとは爆睡。