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10月
今年はどうもいけない様子
五月の一夜に続いて,小降り大降りを繰り返す一日
とは言え,おのれごときがどうすることも出来ず
日中は粛々と観月の神事
夕刻以降は一風呂浴びて呑めや食えや語れや踊れや
宴も仕舞い,間もなく一日も終わろうかという頃,壺の中から天を見上げる
覆われた蓋にただ一ヶ所,ぽっかりと小さく空いた穴
まさかの想いで眺めていると,蓋の縁がにわかに明るさを増し,姿を現したかと思うと,すぐさま反対の縁に消えていった
その間,十秒あったかどうか
十九年ぶりの刹那