先週に足を運んだ、横浜のギャラリー・工房「10watts + chikuni」での「「 球体 」 球,あるいは球の形をした物体の展示会」。その素晴らしさから、ふと想い出しては空想の世界に旅立つこと度々。
球体という形状、そして出展者の肩書を拝見して頭に浮かんだのはLenka Claytonの「Moons From Next Door」。宇宙船の窓から、今まさに着陸態勢に入らんとする未知の惑星。
・Lenka Clayton: Moons From Next Door
さて、ギャラリーを訪れると、そこは俯瞰で眺める銀河の趣。この銀河を構成する百有余の球体群の齢は、数十年から古くても数百年。現実の銀河に比べれば乳飲み児のようなものですが、それらがひとつの空間に存在することで立ち上げる気配には、天を眺めるような畏怖の念を抱かずにはいられませんでした。
その気持ちから選んだのは白色矮星とでも呼びたい、ひび割れた白い球体。老成の極みであると共に、いつ粉々に砕け散ってしまうのかという儚さが同居しています。
ある趣味嗜好をお持ちの方なら、球体をそのままポケットに入れて歩くことに憧れることでしょう。かくいう私も否定できませんが、今回の出展者にはラガード研究所の名前。となると、壊れてしまいそうなこの球体を蝋引きの箱に納めないわけにはいきませんでした。
そうして持ち帰っての帰宅後、箱から取り出して眺めていると、新たな見立てに気がつきました。幼少時、どれだけ作ったかわからない雪玉。そのひとつがタイムカプセルの如く、実家の何処かに保管されていて、今回、それが姿を現したように見えてきました。当時の瑞々しさは消え失せ、水分を失い体積が収縮し、表面に無数のひびが入ったその姿の向こうに、数十年前の自分が17時のサイレンが鳴るのも聞かず、一心不乱に雪合戦に興じる姿が見えるかのようです。