此処から其処へ
1/31から名古屋市のantique Salonで開催されている「Salon d’histoire naturelle 博物蒐集家の応接間」その初日に足を運んできました。
・Salon d’histoire naturelle 博物蒐集家の応接間
訪問のきっかけは、玉青さんのブログ「天文古玩」の記事。
イベント初日、1/31のレセプションに玉青さんがいらっしゃるとのこと。この機会を逃すとお逢いする機会は無いかもしれない。しかし、お逢いしたいと思うと同時に、遠くから見つめるままでいたいという気持ちも拭えない。それは、まるで月を想うようなもの。月は地球から見上げるものであって、行くところではない。
その逡巡の果てに辿り着いた名古屋は4年ぶり。前回はJónsiのライブを見に訪れており(余談ですが、この時の舞台美術は2008年のデロールの火事に着想を得ています)、その際にantique Salonへも伺っていたことを覚えています。
対面なった玉青さんは、その場にいらっしゃった方々のなか、この方であろうと思ったまさにその方でした。ただただ、感謝の言葉しかありません。ありがとうございます。
玉青さんだけでなく、他にも様々な方との出会いがありました。
まずはもちろん、主催のantique Salonをはじめとした出店されている皆さん方。唯一、足を運んだことのある京都のLagado研究所、いつかはと思いながら未だ叶わない神戸のLandschapboek、下北沢のpiika。失礼ながら存じ上げなかった小諸のメルキュール骨董店、オンラインショップのdubhe。天文・植物・鳥類・海洋生物・人体等々、それぞれのお店毎に特徴の出た素晴らしい眺めでした。更に私と同様に日本各地からこのイベントに足を運んだ初対面の方々、こちらが一方的に存じ上げていた方との再会もありました。
そのような素晴らしい空間に身を置きながら、他方では自らを振り返る時間も少なくありませんでした。店内に陳列された目を見張る品々を、此処という我が家に置くことよりも、今回のイベントのように其処に赴いて見るということ。此処よりも其処が好きな私は、きっと今回の応接間の主である博物蒐集家にはなれません。これまで同様、機会があれば国内外問わず、其処に足を運ぶことに楽しさを見出すのでしょう。
開催初日から一夜明けた今日2/1、2008年にデロールが火事で燃えた日というのも、何かの符号なのかもしれません。この「博物蒐集家の応接間」は、東京での開催も計画されているとのこと。デロールがあの日から生まれ変わったように、このイベントの次なる物語が始まることに期待しております。
符号といえば、帰りの新幹線乗車前に寄った名古屋市内の古書店の棚に、入手しなければと思いながら先延ばしにしていた西野嘉章『ミクロコスモグラフィア マーク・ダイオンの驚異の部屋講義録』を見つけました。いささか出来過ぎた話ではありますが、この旅の終わりに出会ったのも何かの始まりと思い、鞄に忍ばせて車上の人となり、そして此処に帰ってきました。