やっと、私にとってのアーサー・ミー(Arthur Mee)と高山宏さんの繋がりに辿り着けそうです。その始まりは、もう一人の「宏」から。
私がアーサー・ミーの存在を知ったきっかけは、高山さんと並び敬愛する、もう一人の「宏」 荒俣宏さん。記憶は朧げですが、前後の状況を鑑みると、おそらく2005年か2006年のこと。紀田順一郎さんとの共著『コンピューターの宇宙誌- きらめく知的探求者たち』(ジャストシステム 1992)を、何気なく読んでいた時でした。
失礼ながら、紀田さんよりも荒俣さんありきで読み始めたのですが、アーサー・ミーについて語っているのは実は紀田さんのほう。その登場シーンを引用します。
イギリス人は博物館そのものが好きなのではないかなと思います。その理由はいろいろあるんですが、一つは『I・SEE・ALL』という、絵で見せる事典がありますね。あれを前に見ておりましたら、poetry(詩)をどう絵で表現しているのかと気になりまして。
中略
編者のアーサー・ミーという人は、I travelled among unknown men というワーズワースの詩を、自分でタイプでうって写真に撮って掲載しているんですよ。おりにふれて考えるんですが、これはpoetryの絵として正解じゃないかと思うんです。(74ページ)
実際に『I・SEE・ALL』で「Poetry」を引いてみますと、当たり前ですが、確かにその通り。
それからは折りを見ては『I・SEE・ALL』を手に入れようとネットで検索。そうして2007年2月、神保町・明倫館書店のサイトに名著普及会による復刻版の『I・SEE・ALL』が出ているのを知り、すかさず電話。タクシーに飛び乗り入手したのでした(上の画像もそれ。ちなみに、今でも当時のオリジナルが欲しい気持ちは持ち続けています。)
それから約2年。ようやく高山さんとアーサー・ミーの繋がりを知ったのは2009年。「アーサー・ミー」で検索して出会ったブログ「忍法影縫いの術」
アンドルー・クルミーの『ミスター・ミー』について語られる中に、高山さんが東大の『UP』2009年1月号で「こんなミーイズムなら大歓迎だ」というタイトルで、この「ミスター・ミー」はあの「アーサー・ミー」だと述べていることを知ったのです。
これはオリジナルに当たらねばと、後日、東大へバックナンバーを買い求めに行ったところ、品切れで買えず。ならばと国会図書館へ赴き、ようやく全文に目を通すと、今度はその中でユーリカ・プレスから『Children’s Encyclopedia(イギリス児童大百科)』が復刻されたこと、その解説を高山さんが書かれていることを知り、その場ですかさず閲覧申請。
・ユーリカ・プレス:アーサー・ミー編集『イギリス児童大百科』
更にその連載が羽鳥書店から連載タイトルそのままに『かたち三昧』として2009年7月に出版。実際に購入したのは、2010年2月、あの「羽鳥書店まつり」の会場だったことも、今という位置から振り返ると非常に感慨深いものがあります。
しかし、これよりも遡ること10年以上も前に、高山さんがアーサー・ミーについて触れられているのを知ることになるのはもう少し後の話。『かたち三昧』と同じ、羽鳥書店から2011年11月に出版された『新人文感覚2 雷神の撥』
この中に収められた『ユリイカ』1997年9月号「あまりにもボヘミアン-ルイス・キャロル考」の中に「希代の教育出版人」という冠を持って、アーサー・ミーの名が登場しています(ちなみに、先に記したユーリカ・プレス復刻の『Children’s Encyclopedia(イギリス児童大百科)』に寄せられた解説も、この『雷神の撥』に収録されています)
さぁ、これまでの整理が出来ました。もちろん、私が知らないだけで他にも書かれているものがあるやもしれません。失礼を承知で、今回の講演会の席で教えを請うことが出来ましたら。
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