ドライでお願いします
降って湧いた米国訪問を前に,足を運びたい博物館を考えた。真っ先に浮かんだのはJurassic Technologyだけれども,自分でキーワードにしたくらいだから,今回の訪問地からは明らかに遠すぎると早々に断念。それならばMütter Museumはどうだろうと,RumeさんのKWを再確認させてもらう。へぇ,フィラデルフィアだったのかと,耳馴染みだけはあってもアメリカの何処に位置するのかは知らない住所をgoogleマップで打ち込む。あ,東海岸か,それなら滞在地からも近そう,ちょっと乗り換え案内でもしてみるか,電車で日帰り可能だよ!。
という,長い前置きの末に来てしまいました。
蝋標本のJosephinumと医療器具のNarrenturmを足して2で割り,そこに人体標本を大量に加えたと言えばわかりやすいか。って,誰にとってわかりやすいのかわからないけど。
他に何があるかと言われると困るけど,それでも「人体の保存には2種類しかない,ドライかウェットかだ」と言い切るだけに,その数たるや夥しく。なかでも双生児のウェットが数多く,これにはさすがに沈痛な想いが浮かぶ。と同時に,『AKIRA』の鉄夫が想起されたりもするから,人間ってやつは厄介なもので。その中に混じって一匹の子豚が眠っている姿には可愛らしさも覚えたりで,更に厄介。あの子豚以外,動物はいなかったような。なんであそこにあるんだろ?。一方のドライはちょっと色が濃いくらいで,あとは蝋標本と見紛うばかり。と,これまたどっちが先かを考えると不思議。
新しい発見は人皮で装丁された本。綺麗な鼈甲色に染まっていた”ひらの出”がそれ。調べるとWikipediaにも記載があり,また藤田嗣治も所蔵していたとか。
ウェブで確認はしていたものの,ミュージアムショップはちょっと拍子抜け。$3に値下げされていたカレンダーも心に響かず。中を確認した書籍については,旅の荷物を増やしたくないのでアマゾンで購入ということで(って,アマゾン,既に2010年のカレンダー予約受付中だし!)。他方,その奥のスペースで静かに開かれてた「Extraordinary Bodies」と題された写真展が素晴らしく。複数の写真家による博物館の所蔵品を様々に捉えた数々。有名なところではWitkinやHellwegなど。ここからカレンダーが作られているのかと推察。
2時間を越える時を過ごし,すっかり堪能。でもなぁ,$14の入館料はちょっと取りすぎかも。1995年の『別冊宝島』に掲載された山形浩生さんの文章によると,破格の$2。色々あるんでしょうね。これからも応援いたしております。