17
5月
おがれ
最後にあの泥と水に触れたのは高校生の頃だったか。週末に帰省して田植えの手伝い。
多少の道具の変化はあれど,人手のかかることには変わりはなく。親族八名,家長の指示に従いて,根っこ運びと植えに分かれて黙々と。段取りをすっかり忘れ,最初は所在なく指示を待つだけであったが,動かす体は何かと覚えているもので。
夕刻,作業が終われば,やることはひとつ。無事を祈願してあげた神棚のお酒を頂けば,あとは無礼講。家長のアルコールを含んだお国言葉はネイティブの我が耳をもってしてもヒアリングが困難。ならばと,分からないのをいいことに,こちらも滑らかになった口で放言。
二日酔いのままでの帰京の手土産は親の手と足による山の幸。わらび・ぜんまい,しどけ・あいこに山うど。お米しかり,子供時分から当たり前に口にしていたもの。だからこそ,いつまでも。まだまだ覚えなければいけないことばかり。