21
3月
人,遊びと戯れる
お彼岸も墓参を終えると,それなりに時間も自由。
ならばと,手持ちのフリー切符を活かして杜の都へ。
お目当ては県美術館に建ちあがった「工場と遊園地」。webサイト「未来派図画工作」,また『Quartz Composer Book』の著者でもあるwowlabの鹿野さんが携わっていると聞けば足を運ばずには。
プロジェクタで投影されたモノクロの工場と遊園地。一見すると暗く,またその対照的な組み合わせから皮肉なものも喚起させられそうになるが,そのイメージは工場から排出される色鮮やかな球体によって大きく覆される。それらは人の影に反応し,様々にその形を変えていく。
球体と無邪気に戯れる子供達の姿が印象的。大きな玉をテニスのボレーのようにやり取りしたり,シャボン玉をヘディングで更に小さく分裂させてみたり。技術と遊びの幸福な関係のひとつ。影絵の世界で見る白昼夢。
夕刻,北上して日本有数の花火の町。全国の花火業者が集い,冬のスキー場で新作花火発表会。
新作と銘打たれているだけに,伝統にとらわれず,また見た目にも遊び心に溢れたものが次から次に。なかでも会場から一際,大きな笑いの起こったのが「アフロヘア」。顔の輪郭と笑顔の表情が線描された後,頭部のラインに沿って黄金色に輝く小さな光がモシャモシャっと。それはさながら,冬の夜空に輝く石立鉄男(笑)。
打ち上げも半ばを過ぎて見上げる首も痛くなってきた頃,ふと伝統花火と新作花火の関係が古典落語と新作落語の関係に近いのではと。そういえば,掛け声も似たようなものだしね。
審査の結果,アフロヘアは最高位の金賞に加え,特別賞も二つ受賞。こうなると,久しく足を運んでいなかった夏の全国競技大会も俄然,気になってくる。今年からは花火も人で見ることになりそう。