驚異の小部屋 / 驚異の劇場
銀座エルメスに東大のモバイルミュージアムが導入されたという話を聞きつけ足を運ぶ。8階のギャラリーを訪れる際もそうだが,ブランド自体には全く購買欲を持たないだけに,すみませんねぇ,いつもタダで楽しませてもらってばかりでと若干,平身低頭気味。
「驚異の小部屋」
イメージとしては「鳥のビオソフィア」の赤い部屋。赤い壁に囲まれた空間の中,同展で目にした標本・什器を中心に,小石川で目にするものが散りばめられている。ヴンダーカマーも元々はトンでもないお金持ちの方々の愉しみであったことを考えると,こういう場の博物展示も理に適ったものだなと。そういえば,パリのデロールもショーウィンドウ向けに剥製を貸し出していたりするんだっけ。
とは言え,やはり本郷や小石川で見たほうが良いと思ったのは,自分がお金持ちではないからでしょうね。また個人的には秘めた愉悦という印象からも逃れられないわけで,知る人だけがこっそり訪れる,しかも外からはその中に何があるのか分からない雰囲気が無いと興奮出来ない体のようです(そういえば,エルメスは外から中の展示が見えるんだよな。あれもちょっと)。
退店後,ジムで2時間みっちりと体を禊いだら,東京国際フォーラム ホールA。
Sigur Ros Japan Tour 2008。
ジム終わりで体に熱も残っているので,何か飲んで落ち着こうかとドリンクバーへ向かうと,唐突に声をかけられる。氷国つながりで顔見知りの方。やっぱり,誰かはいらっしゃるのね。先月,例の危機直後に現地を訪れた話などを聞き,年末の再会を期して辞す。
バンドも変わればオーディエンスも変わる。5月のSteve Reichのライブを思い出すような若い聴衆層の熱量で,国際フォーラムという場から想像していたものとは明らかに異なる景色。それでもこの差異は嬉しい誤算。まるでこの変化に対する己の意識を試されているかのよう。最前列,立って体を揺らし続けている女性のステージライトでシルエットとなった綺麗な曲線を眺めながら,音を聞くともなく想いを巡らせる。
アンコールはsvefn-g-englar~Untitled #8(a.k.a Popplagið)。奇しくも5年前の国際フォーラムと同じ。それなのになのか,それだからこそなのか。
何にでも意味を求めてしまうのは良くない癖ね。